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ツイッター・アメリカ本国の幹部が明かす“日本市場の独自ぶり”「日本(とくにZ世代)はゲームに関するツイートが世界一多いです」 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byYuki Suenaga

posted2022/11/05 11:01

ツイッター・アメリカ本国の幹部が明かす“日本市場の独自ぶり”「日本(とくにZ世代)はゲームに関するツイートが世界一多いです」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

米ツイッター社の「グローバルコンテンツパートナーシップ」責任者、TJ・アデショラ氏。ジョージア大学卒業後、スポーツ専門局ESPNで働く。2012年にツイッター社へ

TJ 若い時は気づかなかったのですが、ESPNのパーソナリティ、アンカーには様々なバックグラウンドの人たちがいたんです。黒人、ヒスパニック、アジア系など、ダイバーシティが豊かだったのです。これは画期的なことだったと思いますね。そしていま、私はツイッターというグローバルなプラットフォームを舞台に、このサービスが利用されているのが、単一ではなく、万華鏡のような世界であることを伝えていく必要があると感じています。

――実際にツイッターのダイバーシティは、どのような形で表現されているんでしょう。

TJ 具体的には例えば女子スポーツの支援に力を入れています。この姿勢は、インクルーシブなサービスを提供するためには必要不可欠なことだと思っています。町田瑠唯選手が活躍した女子バスケットボールのWNBA、そして女子サッカーNWSLをサポートする事業にはとくに力を入れていますよ。

――なるほど。あなたの仕事は競技団体とパートナーシップを結び、具体的な施策につなげていくことなわけですね。これまで手掛けた中で、代表的な仕事を教えてください。

TJ たくさんあって難しいな……。アメリカンフットボールのNFLは私たちにとって密接なパートナーですが、王者決定戦である「スーパーボウルで、今までとは違ったことをやりたい」という宿題をもらいました。スーパーボウルは、アメリカにとって重要な文化的イベントです。開催も50回を超え、伝統的なことは繰り返し行われていますが、何か新しいことにチャレンジしたいというのがNFLの意向でした。それはツイッターにとって、得意とするところです。

 そこで「スーパーボウルに関するツイートで、あなたがいちばん好きなものは何ですか?」というアンケートを取ったんです。そこで、どんなプロモーションを仕掛けたと思います?

――想像もつきませんね。

TJ アメリカでは優勝が決まると、チャンピオンを祝福してコンフェティ、紙吹雪が舞います。そこで、ツイートを印刷した紙吹雪を準備し、それをスーパーボウルで降らせたんですよ。ユーザーにとっては自分のツイートがスーパーボウルの舞台で舞い、選手たちは紙吹雪を手にして、どんなツイートがあったのか、知ることが出来る。これは本当に特別なアクティベーションでしたね。

――それは楽しいですね。一方で、ユーザーはツイッターを通して自分の意見を発表することが出来ますが、それがひとつのうねりになることもあります。どうでしょう、パートナーに対するプロモーションばかりではなく、ゲームそのもの、ルールにも影響を与える可能性もあるのではないですか。

TJ NBAからは、ツイッター上でのファンの意見を集約して聞きたいといった相談もありましたね。また、NFLではオーバータイムのルールが変わりました。かつては、コイントスで勝った方が攻撃権を得て、そこで得点を取ってしまったら勝ちだったんです。守備に回った側は攻撃権を奪わない限り、オフェンスをするチャンスさえなかった。これが不公平だということでたいへん不評で、このルールに関するツイートがたくさんされていたんです。つまり、統括団体も、こうした実際のファンの声を元に、ルールを検討し直すということが実際に起きているんですよ。

「世界中でゲームのツイートが一番多いのは日本」

――では、ここからはユーザーの属性についてうかがいたいと思います。Z世代(90年代後半~10年生まれ)と呼ばれている若者たちの間では、テレビ、スポーツの視聴形態に変化が生まれています。日本では『映画を早送りで観る人たち』という本が売れていて、映画よりも長いスポーツは、早送り、ハイライトで十分という人が増えているのはたしかです。日本シリーズでは5時間を超えるゲームがあり、私はこれをZ世代がどう思ったか気になっていますが、アメリカではどうでしょう?

【次ページ】 「世界中でゲームのツイートが一番多いのは日本」

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