- #1
- #2
核心にシュートを!BACK NUMBER
森保一監督に“ファンがモヤモヤする正体”って何だ? 過去全試合を調べて浮かぶ「ビハインド時の交代策・少ない逆転勝ち」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/05 17:00
日本代表監督就任後、39勝を挙げた森保一監督
筆者がこのテーマに興味を持ち、データを調べ始めた今年1月のこと。サウジアラビア戦の前日記者会見の席で、5人交代制になって以降の「監督の手ごたえ」について筆者が監督に直接問うたとき、こんな答えが返ってきた。
「交代枠の使い方などに関して、評価についてはみなさんにお任せします。ただし、全てをメリットに変えられるようにしてやっていかないと、と思っています。交代枠が5人使えるということで、試合の状況にも応じてですが、チームとして、よりパワーが持てるように使っていきたいと思っています。
私自身もオリンピックも含めて経験を積ませてもらってきていますが、Jリーグや海外のサッカーの視察をさせてもらう中で、視察した試合で使い方などもたくさん学ばせてもらいながら、日本代表にとってプラスになる交代枠の使い方を考えていきたいと思っています」
東京五輪など「交代5人枠」の実戦経験は多かった
こちらの質問に言葉足らずな部分があったと感じたので、「僕の聞き方が悪くてすみません。監督としての『手ごたえ』はどうでしょうか?」と尋ね返したとき、返ってきた答えは以下の通りだった。
「手ごたえとしては、先ほど言いましたようにプラスに変えていけるという風には捉えています。チームにとって、非常に『プラス』になる交代枠の使い方ができているのではないかと思います」
前述したデータ、さらに森保監督体制下で戦った東京五輪(準決勝スペイン戦、メキシコとの3位決定戦は先制を許して敗戦)の結果と照らし合わせると、ビハインド時の交代枠の使い方が上手いとは言いがたい。そしてこの質疑応答は記者会見の場なので、“真逆”のことを語っていたと信じたい。本来なら、五輪代表の監督を兼任したことで「コロナ禍以降に始まった5人の交代枠を実戦の場で使う機会が、他国の指導者と比べてはるかに多いこと」が、アドバンテージになってほしかったのだが……。
ただ、紹介したやり取りは目の前のW杯予選を勝ち抜くことに必死だった時期のことだ。出場権を獲得してからは、対戦相手、そして日本代表の長所も短所もしっかり見つめる時間があった。そこで、後編で紹介する最新の試合でのやり取りから現状を探り、現状を見てみよう。
<#2につづく>