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森保一監督に“ファンがモヤモヤする正体”って何だ? 過去全試合を調べて浮かぶ「ビハインド時の交代策・少ない逆転勝ち」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/05 17:00
日本代表監督就任後、39勝を挙げた森保一監督
<先制された試合での連敗数>
森保 8連敗
※2019年2月1日アジアカップ決勝カタール戦から2021年10月7日サウジアラビア戦まで
西野 2連敗
ハリルホジッチ 3連敗
アギーレ 連敗なし
ザッケローニ 5連敗
参考記録:森保監督が指揮を執った東京五輪代表 5連敗
こちらも各体制の試合数にバラつきがあるが、連敗数は歴代ワーストだった。
ジョーカーである三笘を対戦相手は研究するはず
たしかに、監督が向上心を持っていることは筆者も感じているし、以下のような意見もあるかもしれない。
「“先制された試合ではない”けど、W杯最終予選のオマーンとのアウェーゲーム(※2021年11月16日に行なわれた、最終予選の6試合目)では、ハーフタイムに三笘薫を投入して、見事に勝利を手繰り寄せたじゃないか!」
しかし、あの交代は森保監督だけで判断したわけではなかった。前半を0-0で終えたあと、森保監督はキャプテンの吉田麻也の意見をあおぎ、交代に踏み切っている。
オマーン戦で流れを変えた三笘は、日本がW杯出場を決めたオーストラリア戦でも途中交代から2得点を決めている。ただW杯本大会では、対戦した相手は三笘が交代出場すると「日本の戦術は三笘」だと考えて、徹底的に対策を練ってくるであろうことを考慮に入れなければならない。
もう1つ、選手交代についての懸念がある。
それは選手交代の重要性がコロナ禍に入ってから、それ以前とは比べものにならないほどに増している点だ。
選手交代数が「5人」になったことの重要性
交代数の上限はコロナによる世界のサッカーの中断を経て、3人から5人へと引き上げられた。そのルールのなかで初めて行われるW杯がカタール大会だ。選手の半分弱を入れ替えられるルールがある以上、交代枠を有効に使えるチームは大きなアトバンテージを手にできる。逆に、有効活用できなければ、大きなハンデを抱えることになる。
実際、サッカーの試合中のルール変更などの権限も持つ、FIFAの「グローバル・ディベロップメント」部門のトップを務めるアーセン・ベンゲルは自らの分析の成果からこう明言している。
「5人交代制によって、チームのフィジカルレベルは高くキープされる。また、一度に3選手を送り出すことも(ためらいなく)できれば、チームの不安定な部分や欠点にすぐに対処できる」
つまり、交代は以前にも増して、劣勢に立たされた時に対処するための重要なツールになったわけだ。
では森保監督は、5人交代制についてどう感じているのか。