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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「東大生と田中碧は似ていますね」異色の代理人が語る、学習塾で発見した“ひとりっ子”のメリット「少子化は日本サッカーを強くする」
posted2022/11/03 17:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Kiichi Matsumoto
これまで日本サッカー界では、次の説がまことしやかに唱えられてきた。
サッカーにおいて“ひとりっ子”は不利である――。
実際、2014年W杯と2018年W杯における日本代表のメンバーに、ひとりっ子はひとりもいなかった。日本代表で中心を担った三浦知良、中田英寿、中村俊輔、小野伸二、遠藤保仁、本田圭佑、岡崎慎司にはみんな兄がいる。稲本潤一、長谷部誠、香川真司には姉がいる。
兄弟がいると一緒にボールを蹴って、サッカーに触れる機会が多い。年が離れた兄がいると、体格に優る相手に日々鍛えられる。兄姉がいると年上に物おじしなくなる――いろいろな要因があるだろう。
だが日本は出生率の低下に伴い、子どもがいる夫婦のうち、ひとりっ子の割合は約20%になっている。もしひとりっ子が本当にサッカーに不利なら、日本サッカーの未来は暗いものになってしまうだろう。
これから日本サッカーはどうなるのか?
そのヒントになりそうなのがドイツ2部・デュッセルドルフでプレーする田中碧だ。
代理人事務所『CAA Base』の日本担当として田中のほか、吉田麻也、シュミット・ダニエル、板倉滉など日本代表メンバーをサポートし、同時に『進学塾VAMOS』の経営者として『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)を出版した富永雄輔に話を聞いた。
両親は“自主性”を大事にするタイプ
――カタールW杯メンバーに選出された26名を見ると、「ひとりっ子」なのは田中碧選手と相馬勇紀選手の2人のみ。まずは代理人として初めて接した田中選手の印象を教えてください。
「最初に少しだけLINEでやりとりしたとき、『碧はぐいぐい来る人は嫌いだろうな』と感じたんです。意志が強く、自分で納得して初めて動くタイプだろうと。1年後くらいに突然メッセージが届き、そこからはとんとん拍子で話が進みました」
――ご両親の了承はどう得ましたか?
「これは碧がひとりっ子でも日本代表になれた理由のひとつだと思うんですが、碧のご両親はすごく自主性を大事にするんですね。すでに20歳を越えていたこともあり、碧の決断を尊重し、代理人との契約には関わろうとしませんでした。普通は両親だけでなく恩師にも書類を見せて許可を取るんですが、碧の場合、すべて自分で決めるのでその必要はありませんでした」