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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
スターダム・ジュリアが語る“危険論”への本音とプロレス観「見る人は気にせず。ただ、どこかでストップをかけないと」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/10/25 17:29
5★STAR GP優勝を果たしたジュリア。スターダム移籍、プロレスラーとケガの問題などについて聞いた
プロレスラーのケガを防ぐために“特に大事なこと”
相手を叩きのめして3カウントを奪うだけでなく、スターライト・キッド戦では隙を突いての丸め込み。上谷沙弥にはフロントネックロックを決めた。“激しさ”だけが勝利を掴む方法ではないことを示したのだ。
「自分の技すべてに磨きをかけて、状況に応じて対応する。どの技でも自信を持ってフィニッシュできるというところを見せたかった」
ここにも、ジュリアのプロレス観の“深化”が見られる。同時に、プロレスラーのケガは激しい攻防、危険な技ばかりが原因ではないとも言う。
「特に大事なのは体のメンテナンスだと思います。日頃から整体とかで診てもらって、それでも痛いところがあったら病院に行く。最初は、なかなかそれができなくて。首のケガをする前はそうでした。
病院に行くなら、その時間も練習したい。治療の時間がもったいない。ちょっとやそっとの痛みなら我慢すればいい。それが自分流の美学のようになってましたね。小さいケガですぐ“練習休みます”と言うようではそこまでですし、難しいんですけど」
「世間に何かを訴えることが出来るレスラーになりたい」
リーグ戦優勝という新たな勲章を得て、ジュリアは移籍初年度がピークではなかったことを証明した。そのプロレス人生で目指すのは、優勝やベルトといった以上の価値でもある。
「プロレスラーは対戦相手以外とも闘ってるんです。お客さん、それに世間ですね。私は世間に何かを訴えることが出来るレスラーになりたい。プロレスを通して世の中に伝えたいことがあるんです」
大きく言えば、それは「世直し」だとジュリア。
「今の世の中、おかしなことばっかりじゃないですか。ニュースを見ても街を歩いていてもそう感じることがあります。SNSは無法地帯です。それで命を絶ってしまう人もいる。本当は生きたいのに、幸せになりたいのに。
そういう世の中に対して、自分ができることはなんだろうと。みんな体張って、命張ってやってるんだから伝えれるものはあるはずなんですよ」