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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
スターダム・ジュリアが語る“危険論”への本音とプロレス観「見る人は気にせず。ただ、どこかでストップをかけないと」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/10/25 17:29
5★STAR GP優勝を果たしたジュリア。スターダム移籍、プロレスラーとケガの問題などについて聞いた
鈴季すず、中野たむとの激闘を経て…
リーグ最終公式戦では、アイスリボンの後輩である鈴季すずとドロー。すずは試合の中でグランマエストロ・デ・テキーラ、テキーラ・ショットという技も出している。テキーラ沙弥から受け継いだ技だ。
テキーラ沙弥は、アイスリボン時代のジュリアのタッグパートナー。2019年10月12日の後楽園大会で引退する予定だった。だがこの大会は台風のため中止に。その直後、14日にジュリアは退団を表明しスターダムの会場に現れる。沙弥の引退は大晦日まで延期。それまで、退団したジュリアの代打として他団体参戦や海外遠征を行なってもいる。
もしあの時、台風が来ていなかったら。沙弥が予定通りに引退し、ジュリアがタッグパートナーをしっかり見送ることができていたら。“移籍騒動”のネガティブなイメージも少しは薄れていたような気がする。もちろんジュリア自身はそんな「たられば」は口にしないのだが、すずと闘うことは過去と向き合う行為でもあった。すずとの闘いでテキーラ沙弥の技を受け、それをカウント2で返すことで、何かが前進したようにも思える。
そして中野たむとの決勝戦は、これ以上は無理だろうというほど激しいものになった。
「どちらかが死んでしまうんじゃないかというくらいまで思い切りやり合える。たぶん、そういう関係なんです」
とりわけ、たむの雪崩式タイガースープレックスはダメージが大きかった。
「自分の首がバウンドするくらいの勢いで投げられてましたからね」
プロレスの危険さへの本音「どこかでストップをかけないと」
結果として勝ったのはジュリアだったが、満身創痍なのはどちらも同じ。両者の攻防の激しさは、見ていて怖くなるほどのものだった。プロレスは相手の技を受けるもの。その前提の中で、果たしてどこまでやっていいのか。プロレスの激しさ、危険さはどこまで許容されるのか。ジュリアに聞いた。
「それは最近、自分でも凄く考えます。今のスターダムは場外戦も含めて激しさが増してますから。みんな試合にかける思いが本当に強いんです。自分の試合を印象に残したくて、どんどん激しくなる。
一つ言えるのは、私達は特殊な、専門的な練習をしてきているということ。“この相手なら大丈夫”という信頼関係があってやっていることでもある。だから見ている人には、そこまで気にしなくていいですよと」
ただジュリア自身、首のケガで長期欠場している。それこそ「専門家」同士の話としては、考えなければいけないこともあるというスタンスだ。
「どこかでストップをかけないと、とは私も思うようになりましたね。お客さんに不安がられながらやるのもどうかと思うので。それもあって、今回のリーグ戦で勝った試合のフィニッシュは全部違うんです」