- #1
- #2
濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
スターダム・ジュリアが語る“危険論”への本音とプロレス観「見る人は気にせず。ただ、どこかでストップをかけないと」《特別グラビア》
posted2022/10/25 17:29
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Shigeki Yamamoto
女子プロレス団体スターダムのリーグ戦「5★STAR GP」を制したジュリア。優勝を記念した特別インタビューをお届けする。《全2回の2回目/前編からつづく》
ジュリアは2019年のスターダム移籍以降、掴めるだけの勲章を掴んできた。
2020年、シンデレラ・トーナメント優勝を果たすと“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座獲得。木村花、中野たむとのライバル関係は激しさを極めた。その活躍から東京スポーツ認定の女子プロレス大賞、週刊プロレスの読者投票による女子プロレスグランプリを受賞している。
栄光は、しかし本人にとって不安の種でもあった。
「女子プロレス大賞、グランプリは最高の名誉じゃないですか。でも自分としては、まだ目指す姿の半分にも達していなくて。“これをピークにしてはいけない”という気持ちは常にありました」
翌2021年3月には、日本武道館大会のメインを張った。中野たむとの敗者髪切りマッチ。敗れて白いベルトを失ったジュリアがリング上で髪を刈られる姿は凄まじいインパクトを残した。「髪切りマッチの主役は敗者だから」と言う関係者もいる。試合を終えたジュリアは、深刻な燃え尽き症候群に襲われたという。ここでいったん、快進撃がストップしたように見えた。
スターダム移籍で「業界全体から“腫れ物”扱いでした」
デビューしたアイスリボンからの移籍は突然だった。2019年10月14日にSNSで退団を発表すると、当日のスターダム後楽園ホール大会に登場し参戦表明。その後あらためて団体間で話し合いがなされ、移籍が正式に決定する。
「あの時はファンからも関係者からも、業界全体から“腫れ物”扱いでしたね。正直、辛い時もありました。でも常に堂々としなきゃって。会社(アイスリボン)に対しては、私は間違ったことはしていなかったので」
当時のジュリアはアイスリボン運営会社の社員で、団体側は「無断欠勤している状態」と説明した。だがジュリアは以前から退団(退社)の意思を伝えていた。騒動になったことを謝罪はしたが、通せる筋は通したという思いだった。
アイスリボンでの活動に限界を感じていた。退団してスターダムの練習生からやり直すか、プロレス界から離れるか。それくらいの覚悟をしていた。団体が最初につけたキャッチフレーズは“話題のお騒がせ女”。そういうところから始まっての女子プロレス大賞であり、武道館メインだったのだ。