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“レースクイーン不要論”にレースクイーンの女王はどう答える? 「私たちをなくしたら、日本のモータースポーツはもう“終わり”です」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byShiro Miyake
posted2022/10/23 17:01
今年で8年間にわたるレースクイーン人生に終止符を打つ近藤みやびさん。これまでの活動と日本でのレースクイーンの必要性について聞くと…
レースクイーンは日本で必要なのか?
――8年間レースクイーンをずっとされている中で、2018年には「現代の社会規範にそぐわない」という理由でF1では「グリッドガール」が廃止されました。“レースクイーン的な存在”が世界的にはなくなる傾向にありますが、近藤さんはどう感じていますか?
近藤 世界的な流れはもちろん知っているのですが、日本国内のモータースポーツを取り巻く環境を考えると、私たちの存在は必要だと思っています。SUPER GTなどの国内レースは、野球やサッカーみたいにメジャーかというと残念ながら大きな差があるのが現状です。結果が大きくニュースに取り上げられることも少ないですし、事故などの悲しいことでしか大きく取り上げられなかったりします。レースの楽しさやレースそのものの情報を広く発信する場がない。しかもサーキット場は最寄りの駅から遠く、ふらっと来てもらえるレジャーではないので、ただでさえファンを呼び込むのが難しいです。
知られる機会が少ない中でどうするかを考えた時に、日本はやっぱりレースクイーンから入ってもらうしかないんじゃないかと。「カワイイ女の子がいる」「ちょっと露出をしたコスチュームの子たちがいる」というのをきっかけにサーキットに来てもらって。そうしてサーキットに来たらレースを見るしかないじゃないですか? それで見てもらえたら、絶対レースの楽しさが伝わると思うんです。
日本からレースクイーンをなくしたらもう終わり
――レースクイーン以外にファンを呼び込める存在はいないんでしょうか?
近藤 ファンを集められるポテンシャルのある国内のドライバーもいるんですが、SNSを駆使しているかというと、たくさんファンを集めているF1のドライバーと比べるとまだまだという印象です。「予選何位でした、明日からレース頑張ります」といった結果報告だけにとどまっている方が多いんですよね。それだと、やっぱり「かっこいい」とか「あの人を見にレースに行こう」ってならない。そういう現状があるので、日本からレースクイーンをなくしたらもう終わりだと思っています。サーキット場に新たに人を呼び込むという存在として、レースクイーンは必要不可欠なんじゃないでしょうか。以前、『アウト×デラックス』に一緒に出演した脇阪寿一さん(SUPER GTをドライバーとして3度、監督としても1度制覇した“ミスターSUPER GT”と呼ばれるレーシングドライバー)が「レースクイーンがいなくなると入場料収入などの財源がなくなる」と言っていて、その話も踏まえての私の意見になるのですが……。
――なるほど。日本ではレースクイーンはファンを呼び込める存在として大きな価値があるんですね。
近藤 SNSなどでの情報発信はドライバーたちよりもレースクイーンのほうが長けていると思いますし、フォロワー数もドライバーより多かったりする。私自身、レースクイーンとしての私を通してレースの面白さを知って、レースを楽しんでもらえたらいいなと思いながら活動を続けてきました。レースクイーンとしての私を知ってもらうことも嬉しいですが、今でも一番言われて嬉しいのは「近藤さんに会いたくて、サーキット場に来たんですけど、レースを見てすごいレースにハマりました」っていう言葉ですね。