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“クボコールに応えるヘディングアシスト”だけでない久保建英の強み 「自信に満ちる右サイドでの落ち着き」をELで撮った
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/10/16 06:00
ELシェリフ戦、右サイドで途中出場してアシストをマークした久保建英
それでもソシエダは、前半終了間際にセルロートがサイドからドリブルで切れ込み見事なミドルシュートを突き刺して先制に成功。1-0で前半を折り返した。
“久保コール”が起こる中、久々の右サイドでのプレー
先制したこともあって、ハーフタイム中にアップする久保の姿はほとんど見ることはなく、後半頭から21歳のFWカリカブル、MFロベルト・ナバロを同時投入。それもあって、この試合での久保の起用はないようにも思われた。
しかし55分頃になると、再度アップのためにピッチ脇に現れる。するとサポーターからも“久保コール”が起こった。そして62分、20歳のウルコとともにイマノルから指示を受けるとピッチに足を踏み入れた。その際にピッチを後にしたメンデスには会場から拍手と歓声が送られている。
ピッチに入った久保はそのままCKのキッカーに。ナバロとのショートコーナーを経て、自らのシュートにまでもっていっている。その直後の66分、ナバロのアシストパスを受けたサイドバックのリコが、強烈なミドルシュートを突き刺してリードを広げることに成功した。
久保はソシエダ加入後、2トップの一角もしくは左サイドでの起用が多く、直近の日本代表戦でも左サイドに入っているが、この試合では右サイドにポジションを取った。
マジョルカ時代にも見せていたサイドでのドリブル突破、また左利きプレーヤーならではのカットインからのシュートや、左足でのゴールに向かうクロスから決定機を演出した。
長年親しんだポジションだけに、絶対にボールは取られないという自信に満ち溢れたプレーに抜群の落ち着きを見た。
“バルサのカンテラライン”で決めたゴール
そして極め付けは81分、ゲレロが左サイドでドリブルを仕掛けると、右サイドでフリーになっている久保が加速、やや長くなったゲバラのクロスをラインぎりぎりで頭で折り返すと、走り込んだナバロが蹴り込んで勝負を決着付けた。
得点者のナバロは、久保とバルサのカンテラ時代を過ごした仲ということもあってか、より喜びを爆発させているようにも見え、試合後にも談笑する姿を撮影できた。
ソシエダは、首位を維持したままグループの突破を決定づけた。次節をソシエダ、マンUともに勝ち抜けば、最終節ホームでの対マンU戦が、首位突破をかけた決戦となる。
それとともに、ELだけでなくリーガとの過密日程が続く。
その中で、この試合を最終的にはユース出身選手を含めほとんど20代前半の選手を使い、シルバなどに休息を与えることができたのは大きい。
また久保もアシストだけでなく右サイドでも戦える姿を見せたことで、イマノル監督にオプションを与えることができたはずだ。
W杯を前に、大事な試合は続いていく。
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