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「クボは“便利屋”ぶりをマンU戦で確立。間違っていたのは我々」「過去と別人」番記者も驚く“久保建英ソシエダ即フィットの要因”
posted2022/09/30 17:03
text by
ロベルト・ラマホ/ディアリオ・アスRoberto Ramajo
photograph by
Daisuke Nakashima
タケ・クボはレアル・ソシエダ加入から2カ月も経たないうちに、イマノル・アグルアシル監督が重用する前線の“便利屋”となった。
その間、彼は献身性や新たな環境への適応力、プレーのクオリティーといった要素だけでなく、試合展開に応じて監督から求められる様々な役割をこなすことで、我々を驚かせてきた。
ホームタウンにおける序盤の主役の1人に
今季これまで出場したラ・リーガとヨーロッパリーグの8試合において、クボはあらゆる攻撃的ポジションで起用されてきた。メディアプンタ、インテリオール、左右のサイド、2トップの一角。これらのポジションで見せてきたプレーレベルの高さには、多くの人々が驚かされたはずだ。
同じく新加入のモハメド・アリ・チョがそこまで目立っていないこともあり、クボはサン・セバスティアンにおけるシーズン序盤の主役の1人となっている。
前回の記事でも書いたが、クボはプレシーズン中から非常に良い印象を残していた。練習試合を通してイマノルのプレーモデルをよく理解し、開幕に向けて万全の準備を整えただけでなく、開幕戦から先発の座まで勝ち取っている。
2トップの一角で結果…間違っていたのは我々だった
ヌエボ・ミランディージャで行われたカディスとの開幕戦で、クボは誰もが予期せぬヒーローとなった。プレシーズンを通して好調を維持し、確かな自信を持ってデビュー戦を迎えたものの、試合前の先発予想に彼を含める者は多くはなかった。
しかもこの試合でイマノルは、2トップの一角にクボを抜擢した。練習でも実戦でも一度も試しておらず、彼の特性には合わないと考えられていたポジションながら、指揮官は何らかの可能性を感じていたのだろう。
実際、間違っていたのは我々の方だった。
ぶっつけ本番での起用に応えたクボは、この試合で唯一のゴールを挙げた。ディフェンスラインにぽっかりと空いたスペースへ抜け出し、ミケル・メリノが送った縦パスを見事なコントロールからフィニッシュに持ち込んだあの日のゴールは、過去数シーズンに渡って伸び悩んできた彼を解放し、翼を与える重要なきっかけとなった。