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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
シュミット・ダニエルはなぜ日本代表で好プレーを披露できたのか…PKストップだけではない充実の要因「熊本時代と重なる感覚があって」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2022/10/29 11:00
日本代表9月シリーズで存在感を放ったシュミット・ダニエル。W杯に向けての意気込みや欧州で戦って得たGKの知見を話してくれた
――新しく加わったGKというのは?
「ジョー・コッペンズという、僕の1個上の選手で、学ぶことがたくさんあります。それに、試合のメンバーが決まったら、僕に勇気を与えるような声掛けをして、送り出してくれる。練習ではお互いを鼓舞し合って、ネガティブなことは一切なくて、ポジティブなことばかりで。今、すごくいい雰囲気で、なおかつ楽しく練習できているのは、間違いなく彼のおかげ。GKコーチも含めて、すごくいいキーパーグループで、充実した練習ができていますね」
熊本でサワさんと出会ったとき、GKグループの雰囲気が
――浦和レッズの西川周作選手も、鈴木彩艶選手、去年までの塩田仁史さん、今年からは牲川歩見選手と、みんなで励まし合い、叱咤激励し合って、本当にいい雰囲気で練習できていると話していました。こういうグループで練習すると、すごく成長できるんだと。
「すごく分かります。熊本でサワさんに出会ったとき、キーパーグループの雰囲気がすごく良かったんですよ。みんなで声を出し合いながら、練習を楽しんでやっていた。こういうキーパーグループっていいなと感じたのは、そのときが最初でした。その後、松本山雅でも白井裕人くん、鈴木トモ(智幸)くん、ナイル(キローラン菜入)と、みんな陽気に練習する人たちだったし、ベガルタ仙台でも川浪吾郎がいて、彼もよく喋るから、練習の雰囲気がすごく明るかった」
――今に限った話ではないんですね。
「だから、人に恵まれているなって思います。ただ、そういうキーパーグループにいられることって、なかなかないんですよね。やっぱり、そういう接し方ができずにピリピリする選手もいるし、それも理解できるし。僕自身、毎日明るくポジティブに振る舞えるかと言ったら、気が乗らない日もあるので。雰囲気のいいキーパーグループには、必ずムードを作れる人がいる。今、いいキーパーグループにいられるのは、すごく幸せなことだと感じています」
シュミットは“GKコーチに影響される”タイプ?
――GKコーチの話になったので、ずっと気になっていたことを聞かせてもらいます。1年くらい前、日本代表の囲み取材で、「ベルギーに来て、技術的にそんなに成長したとは思わないけれど、出続けていることによる自信が増した」と話していて。それって重い言葉というか、技術的に成長を感じられないのは苦しいことでは? もしかしたら、いいGKコーチに巡り会えていないのかなと。
「その通り……って言ったら、前のGKコーチがかわいそうですけど(苦笑)。こっちに来たばかりの頃(19-20シーズン)のGKコーチは、メンタルを乗せてくれるのがうまい人で、メンタルの持ち方の部分を伸ばしてもらったんです。その後、昨シーズンまでいたGKコーチに代わったんですけど、彼は練習がシンプルで、毎週同じリズムだったので、新しい刺激がなく、技術的な進歩があまり感じられなかった。なので、練習や試合を通して自分で試行錯誤しながら成長していく感じだったんです。ただ、僕を信頼して、試合に出続けさせてくれたことは、すごく感謝しています」