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「さすがはマルケス」3戦連発! 手術から復帰した最速ライダーの恐るべき回復と、気になるホンダの戦闘力
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2022/10/08 06:00
スピードレンジが下がり、体への負担が少ないウエットコンディションとはいえ、日本GPでのPPにはファンも関係者も驚かされた
続く日本GPでは、ウエットコンディションとなった予選で3年ぶりのPPを獲得した。
マルケスが6月上旬の再手術を経て右腕のリハビリとトレーニングを開始したのは、8月下旬のことだった。手術から2カ月半、腕は吊ったままの状態で筋力の衰えは著しく、日本GPの時点でもリハビリ開始から1カ月しか経っていなかった。
日本GPが開催されたもてぎはマルケスが得意とするサーキットのひとつとはいえ、まだ完全ではなかったにもかかわらず、3年ぶりMotoGPで63回目、通算91回目となるPPを獲得。決勝は事前に「ドライになれば右腕には厳しい戦いが待っている」とコメントしていたとおり、優勝争いには加われず4位フィニッシュとなったものの、再手術から復帰2戦目とは思えぬパフォーマンスは、ライバルや関係者を「さすがはマルケス」と驚かせるに十分だった。
復帰後も常にホンダ勢トップ
日本GP同様に3年ぶりの開催となったタイGPでは、初日のフリー走行でトップタイムをマーク。しかし、そこからはなかなかタイムを更新できず予選8番手。ウエットコンディションになった決勝は、中盤までフランチェスコ・バニャイア、ヨハン・ザルコと3位争いのグループに加わっての5位だった。
このレースで周囲は復帰後初の表彰台を期待したが、バニャイアとザルコのドゥカティの速さに完敗。「ドゥカティが速すぎて抜けなかった」と語ったが、目下絶好調の二人と3位争いを繰り広げたのは、やはり「さすがはマルケス」だった。
この3連戦を振り返ると、今季低迷を続ける他のホンダ勢のリザルトに大きな変化はなかった。チームメートのポル・エスパルガロは15位、12位、14位。マルケスの弟アレックス・マルケスは12位、13位、8位で、マルケスの抜きん出たパフォーマンスを証明する形となった。