モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER

「さすがはマルケス」3戦連発! 手術から復帰した最速ライダーの恐るべき回復と、気になるホンダの戦闘力

posted2022/10/08 06:00

 
「さすがはマルケス」3戦連発! 手術から復帰した最速ライダーの恐るべき回復と、気になるホンダの戦闘力<Number Web> photograph by Satoshi Endo

スピードレンジが下がり、体への負担が少ないウエットコンディションとはいえ、日本GPでのPPにはファンも関係者も驚かされた

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

photograph by

Satoshi Endo

 今年の6月上旬に右腕上腕骨の再手術を行ったマルク・マルケスが、手術から3カ月半後の第15戦アラゴンGPで復帰、第16戦日本GP、第17戦タイGPと続いた3連戦を戦い抜いた。結果は、アラゴンGPは予選13位・決勝リタイア、日本GPは予選ポールポジション(PP)・決勝4位、タイGPは予選8位・決勝5位だった。

 腕の状態は? 今季絶不調のRC213Vの現状は? などなど、マルケスが復帰したことで、あらためてさまざまな疑問が浮かび上がったが、まずは、絶対王者復活を目指すマルケスの3連戦を振り返ってみたい。

リタイアと謝罪の真相

 復帰第1戦となったアラゴンGPで、マルケスは予選13番手、5列目からのスタートだったが、猛烈なダッシュを決めて1コーナーで6番手に浮上。その直後の3コーナーでリアがスライドし、体勢を立て直そうとアクセルを少し戻した際、後ろにいたファビオ・クアルタラロが避けきれず追突して転倒。その追突により、マルケスのマシンのリアサスペンションとスイングアームにクアルタラロのカウルの破片が挟まってマシンに異変が生じ、その先の7コーナーで後ろにいた中上貴晶の進路を塞ぐ形となり接触。今度は中上が転倒した。

 当のマルケスもその周回、ピットに戻ってリタイアを決めた。あっという間に復帰戦を終えてしまったマルケスは、転倒させてしまったクアルタラロと中上に謝罪するという大荒れのレースだった。

 クアルタラロがマルケスのスライドと減速を避けきれなかった要因は、スタートがうまいマルケスが1コーナーで一気に順位を上げてしまったこと。加えて、ドゥカティ勢と熾烈な首位争いが続くクアルタラロが予選6番手で、序盤にひとつでもポジションを上げて、先行するフランチェスコ・バニャイアに追いつきたいという心理が働いていたこともあったと思う。起こりうるレースインシデントのひとつだったとはいえ、手術から3カ月半とは思えないスタートダッシュを決めたところは、「さすがはマルケス」だった。

【次ページ】 復帰後も常にホンダ勢トップ

1 2 3 NEXT
マルク・マルケス
レプソル・ホンダ

MotoGPの前後の記事

ページトップ