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「すべての監督がモリタを指導してみるべき」“お世辞抜きの守田英正ポルトガル現地評”とCLトッテナム戦後の声「これがプレミアの…」
posted2022/09/17 11:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Daisuke Nakashima
「すべての監督が一度は彼(守田英正)を指導してみるべきだと思うよ」
チャンピオンズリーグ・グループステージ第2節の前日会見で、最後に機会を与えられた筆者の質問に、スポルティングCPのルベン・アモリム監督はそう答えた。「すべての選手が一度はマルセロ・ビエルサの指導を受けるべきだと思う」と言ったのは、たしか元スペイン代表ハビ・マルティネスだったと記憶しているが、逆のケースは聞いたことがない。
守田に関しては良いことしか思い浮かばないよ
現在37歳の気鋭のポルトガル人指揮官は、満面の笑みを浮かべて楽しそうに話を続けた。
「彼はいつも仲間を助けようとし、とても礼儀正しく、一日に1000回くらい謝ったりするんだ。学ぶ意欲も高く、さまざまなポジションでプレーできる。ここには6番の選手(守備的MF)として新加入したけれど、素晴らしい技術を持っているので8番(より攻撃的なセントラルMF)にも対応できる。いや本当に、守田に関しては良いことしか思い浮かばないよ。人間性にも優れる彼を獲得できて嬉しいし、ありがたいね」
その2日前に行われたポルティモネンセとのリーグ戦を記者席から観たかぎり、アモリム監督の言葉が遠路を経てやってきた日本人へのリップサービスではないことがわかる。
中村航輔の守るゴールを4度も陥れてスポルティングが4-0の勝利を収めた一戦で、守田は文字通りチームの中心だった。チームメイトは中盤の低い位置(6番のポジション)にいる彼にボールを預け、受けた守田は効果的なパスワークでゲームをつくる。守備時には鋭い出足で相手の懐に入り込み、ボールを奪い切ったり、敵の攻撃を寸断したり。決定機に関与することこそなかったが、まさに司令塔と呼ぶにふさわしい存在だった。
トッテナム戦では悠々とボールを持てなかったが
それから3日後にホームに迎えたトッテナム・ホットスパーは、おそらく守田がこれまでに経験したなかでもトップレベルの相手となったはずだ。加えて、彼がチャンピオンズリーグのアンセムをピッチ上で聞くのは、これが2度目。その表情は、リーグ戦の時と比べて、どこか硬く見えた。
前日にアモリム監督が「自分たちのアイデンティティーを維持することが重要。結果が伴わない時もずっとそうしてきたし、今では大きな自信を持っている」と語ったように、試合が始まるとホームのスポルティングが主導権を握ろうとする。ただしアントニオ・コンテ監督が率いるタフなトッテナムは、ホームチームのポゼッションの中心にいる守田に圧力をかけてきた。