球体とリズムBACK NUMBER
「すべての監督がモリタを指導してみるべき」“お世辞抜きの守田英正ポルトガル現地評”とCLトッテナム戦後の声「これがプレミアの…」
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/09/17 11:00
CLで奮闘するスポルティングの守田英正
緑と白の背番号5をまとう日本代表MFは、ロドリゴ・ベンタンクールやハリー・ケインといった大きくてパワフルな相手に詰め寄られ、リーグ戦の時のように悠々と球を持つことはできない。
「警告を受けても止めるべき」ソン・フンミンを…
徐々にアウェーチームが敵を押し込むようになったものの、スポルティングも決して引かず、前半終盤にはかつてトッテナムの下部組織で育ったマーカス・エドワーズが古巣の守備者たちを手玉に取る。
当時、スパーズを統率していたマウリシオ・ポチェッティーノ監督から、「若かりし頃の(リオネル・)メッシを想起させる」と言われていたスポルティングの10番は、右サイドでドリブルを始めると、エリック・ダイアー──こちらは逆にスポルティングのユース育ちだ──らを次々にかわし、フランシスコ・トリンカオンとのワンツーからゴールを狙ったが、惜しくもGKウーゴ・ロリスに阻まれた(決まっていれば、シーズンベストゴールのひとつになったはずだ)。
後半も一進一退の展開が続くなか、守田は63分に「警告をもらっても止めておくべき」と判断して、抜きにかかるソン・フンミンを倒してイエローカードを受けた。そして8分後には、盛大な拍手が鳴り響くなか、途中交代した。
さらにアモリム監督は3枚のカードを切り、そのうちの2人が最終盤の3分間に得点。パウリーニョのヘディングによる先制点が決まった時と、新加入後に初出場したアルトゥル・ゴメスが投入から1分後に加点した時、スタジアムは凄まじい歓声で揺れた──クラブの愛称“ライオンたち”の咆哮と形容したくなるような、途轍もない音だった。
これがプレミアのトップレベルなんだと感じました
試合後、協力的なクラブの広報が約束通りに守田を連れてきてくれ、話を聞くことができた。
「(アイントラハト・)フランクフルトとのアウェー戦で良い勝ち方ができたし、(今回は)ホームだったので負けられないと思っていましたけど、劇的な形で勝ててよかったです」と、守田は充実した表情で語った。
向こうに回したプレミアリーグのビッグ6を成す強豪については、「このグループから(トッテナムが)確実に1位で抜ける」と思われていると話しつつ、「世間的には」と付けたあたりに、チームと自らへの静かな自信が伺えた。
またトッテナムと手合わせしてみた肌感覚としては、「これがプレミアリーグのトップレベルなんだと感じましたね。ただプレシーズンにウルブス(ウォルバーハンプトン・ワンダラーズ)や、他国のクラブともやっていたので、今日が初めてという感覚ではなかった」とも語った。