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「15校中8校でチアリーダーが盗撮されている」出場校アンケートで判明した甲子園の”性的画像”被害「パーカーとスキニーパンツに変えた高校も」
text by
品川絵里(共同通信)Eri Shinagawa
photograph byGetty Images
posted2022/09/19 17:01
高校野球では風物詩となっている女性チアの応援。盗撮などの被害の有無を2021年のセンバツ出場校に聞くと…
競技としてのチアリーディングを統括する日本チアリーディング協会では、協会発行の許可証を持たない人には撮影を認めない措置を取っている。同協会は球場での被害防止策について、まず主催者に対応を求めることを前提に「チアリーダーを学校関係者に近い場所に固めたり、スカートの下に長いスパッツをはいたりする工夫があってもよい」と学校側が取り得る手段を提言した。(共同通信21年3月6日配信)
長袖パーカーにスキニーパンツ、講じられる被害防止策
予定通り、3月19日に選抜大会が開幕。新型コロナウイルスの感染症対策としてアルプス席でのブラスバンドの演奏は禁止されたが、チアリーダーは録音された音源に合わせてエールを送った。アルプス席は学校関係者のみで、入場者は1日1万人を上限にしていたため、今までの大会よりも被害が少なくなることも期待できた。
高校野球担当として甲子園球場で試合を取材しながら、アルプス席も気にした。高校生たちは、長い時間をかけて練習してきただろう踊りを笑顔で元気よく披露し、その応援は選手だけではなく、観客を楽しませるものだった。この子たちを性的な意図で写真を撮って、横流しする人がいるのか、この場で長年被害が生まれてきたのかと思うと改めて残念な気持ちになった。
連日チアリーダーを見ていると、明豊高校(大分)が長袖のパーカーと、スキニーパンツの衣装で応援していることに鎌田(理沙)記者(同じく「性的画像」問題の取材を担当)が気づいた。
アルプス席で話を聞くと、まさに性的画像の被害を避けるための工夫だった。過去に甲子園で盗撮被害を受けたことから、教諭が衣装の変更を提案し、部員と話し合って決めたという。キャプテンは「スカートを狙う盗撮は怖い。新衣装は保護者からの評判もいい。寒くないし、遠征先でも着替えが楽。良かったなと思う」と話していた。
被害を受ける側が対策を講じ、従来の衣装を変えなくてはいけないというのは本来おかしな話ではあるが、生徒も納得した上で変更したと聞き、素晴らしい取り組みであると感じた。一方で、衣装を変えようと意見が出るほど、高校生に対する性的な撮影行為が横行している現実があることを再認識した。
<被害は高校生以外にも…#2へ続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。