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アントニオ猪木のカリスマ性、その正体は? レスラーの証言「あんな馬鹿な試合、俺と猪木にしかできない」「賛否はチャレンジの結果」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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posted2022/09/11 17:01
燃える闘魂アントニオ猪木。他のプロレスラーを通して見る彼のスタイルとは?
鋼のような肉体を誇ったマサも、晩年はパーキンソン病を患い、リハビリに励んでいたが、2018年7月14日に逝去。リング上での戦いだけでなく、長年にわたって外国人ブッカーとしてベイダーやスコット・ノートンらを発掘するなど確かな眼力を見せた。まさにパワフルな75年の人生だった。
「俺たちの相手は大衆なんですから…」
<名言4>
俺が入った頃の新日本プロレスの道場で、レスラーは強くないとあかん、そのために関節技とか勉強しなきゃいかん、新日本プロレスは発展して、いずれショープロレスじゃなくて格闘技をやろうと思ってるって言われた。
(前田日明/Number605号 2004年6月24日発売)
◇解説◇
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アントニオ猪木が現役でトップを張っていた時代の新日本プロレスは、“ストロングスタイル”を標榜し、格闘技志向を打ち出していた。特に強い影響を受けたのが、前田や高田延彦、藤原喜明だった。特に前田は190cm超の体格から繰り出されるダイナミックなスープレックスやキックを武器に、真の強さを追求していった。
「俺はそれを真剣に信じて、自分が新日本を辞めてからも忘れずにやった、っていうだけの話でね」
それは新日退団後のUWF、リングス立ち上げ、さらには現在の格闘技プロモーターとしての活動で一貫した思いなのだろう。
しかし、なぜ猪木は変化を怖がらず、世間に波紋を投げかけるような戦いを続けてきたのか。猪木自身が発したこの言葉が、端的に表しているのかもしれない。
「俺たちの相手は大衆なんですから、大衆の支持を得られなくなったら終わりということですよ」
それぞれの目を通して見る「猪木のプロレス」は、その時代時代に合わせて多様性にあふれている。それだけに多くのプロレス・格闘技ファンを惹きつけるカリスマとして存在感を放ったのだ。