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阪神・青柳晃洋「12球団で最も信頼できる先発」な成績の数々 沢村賞争いの山本由伸と比べてもトータルで…〈サブマリン前回受賞者は?〉
posted2022/08/09 11:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
阪神の青柳晃洋が、サブマリンなのか否かについては議論が分かれるところ。ボールのリリースポイントは比較的高くて、本人は「下手投げ気味のサイドスロー」と言っているようだ。しかし身体をぐっと沈めてから浮かび上がる投球フォームはサブマリンそのものだ。
今季の青柳は防御率1.38でセ・リーグダントツの1位、勝利数も12勝と2位の巨人、戸郷翔征に3勝差をつけている。しかし、同時に青柳の成績からは、サブマリン投手の特色が浮かび上がってくる。
「四球を与えず三振を取る」K/BBが図抜けている
セの規定投球回数以上の投手の各種成績を見てみよう。まずは奪三振率(K9)、9イニング当たりの三振数。
柳裕也(中) 7.58 (98奪三振/116.1回)
戸郷翔征(巨) 7.37 (95奪三振/116回)
青柳晃洋(神) 7.36 (96奪三振/117.1回)
大瀬良大地(広) 6.75 (84奪三振/112回)
森下暢仁(広) 6.32 (89奪三振/126.2回)
大野雄大(中) 6.00 (74奪三振/111回)
床田寛樹(広) 5.84 (74奪三振/114回)
西勇輝(神) 5.38 (69奪三振/115.1回)
小川泰弘(ヤ) 5.35 (63奪三振/106回)
今季のセ・リーグの先発陣には三振をバッタバッタととるパワーピッチャーがいない。パではソフトバンク千賀滉大が9.83(115奪三振/105.1回)、オリックスの山本由伸が9.35(135奪三振/130回)、さらに規定投球回未達だがロッテの佐々木朗希が12.85(129奪三振/90.1回)と驚異的なK9を記録している中で、セはイニング数を上回る奪三振の先発投手はいない。
中日・柳の7.58が最高、そして青柳はリーグ3位の7.36、これはサブマリン投手としては悪い数字ではないが、現代では「打たせて取る投手」の数字だと言える。
続いてK/BB、奪三振数を与四球数で割った数値。投手の安定感、制球力を見る指標だ。
青柳晃洋(神) 6.00 (96奪三振/16与四球)
柳裕也(中) 4.26 (98奪三振/23与四球)
西勇輝(神) 4.06 (69奪三振/17与四球)
大瀬良大地(広) 3.82 (84奪三振/22与四球)
大野雄大(中) 3.22 (74奪三振/23与四球)
森下暢仁(広) 3.18 (89奪三振/28与四球)
小川泰弘(ヤ) 3.15 (63奪三振/20与四球)
床田寛樹(広) 2.64 (74奪三振/28与四球)
戸郷翔征(巨) 2.50 (95奪三振/38与四球)
この数字は青柳がセでは断トツの1位。パの規定投球回以上では楽天の岸孝之が5.44(87奪三振/16与四球)が1位だから、この数字をも上回っている。青柳の奪三振はさほど多くはないが、めったに四球を与えない投手なのだ。K/BBはMLBでは最も重視される指標の1つだが、青柳の優秀さが際立っている。
さらにQS(Quality Start)率を見てみる。