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中央挑戦シテイタイケツ“異次元の末脚”は本物か?「同じような勝ち方」のエルコンドル、大井の伝説ハイセイコーら“衝撃デビュー”を検証
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTCK(東京シティ競馬)
posted2022/08/05 17:03
衝撃的なごぼう抜きで新馬戦を制した大井のシテイタイケツ。中央初挑戦となる8月6日のダリア賞(新潟芝1400m)に注目が集まっている
最大着差トップ3の共通項は“ダートでの初陣”
では、JRAの馬はどうか。
手元にある『中央競馬レコードブック あらかると編』(PDF版、非売品)に掲載されている「最大着差勝利(平地:最近例)」で、最も大きな着差をつけた馬として紹介されているのは、1986年3月1日、阪神ダート1800mの新馬戦で、2着に3秒6の差をつけたツキノオージャ(牡、父ラディガ、栗東・谷八郎厩舎)だ。
次が、2004年3月27日、中山ダート1800mの未勝利戦で2着に3秒5の差をつけたグランドホイッスル(牝、父シアトルスズカ、美浦・高松邦男厩舎)で、これがデビュー戦だった。そして、1990年11月3日、京都ダート1400mの新馬戦で2着を3秒3突き放したメイショウホムラ(牡、父ブレイヴェストローマン、栗東・高橋成忠厩舎)、2021年12月18日、中山ダート1800mの新馬戦を同じく3秒3差で勝ったタヒチアンダンス(牝3歳、父キングカメハメハ、美浦・加藤征弘厩舎)とつづく。
ツキノオージャは通算14戦3勝、グランドホイッスルは33戦3勝、メイショウホムラは25戦10勝で、この10勝には1993年のGIIIフェブラリーハンデキャップ(のちのGIフェブラリーステークス)が含まれている。タヒチアンダンスは現役で、まだ2勝目を挙げていないが、前走の1勝クラスは直線で不利を受けて躓きながら2着を確保する強いレースだった。
これは最近のすべての平地競走におけるトップ3であるから、ダートでの初陣というのは差がつきやすい、ということか。
あの凱旋門賞2着馬が見せた「ぶっこ抜き」
だとしても、サクセスブロッケン(牡、父シンボリクリスエス、栗東・藤原英昭厩舎)の新馬戦は強烈だった。舞台は2007年11月17日の福島ダート1700m。鞍上の中舘英二が促してハナに立つと、道中はずっと引っ張り切りで進み、直線でも抑え気味のまま、2着を3秒1も突き放してしまった。翌08年の端午ステークスまで無傷の4連勝と快進撃をつづけるも、日本ダービーでは最下位の18着。次走のジャパンダートダービーでJpnI初制覇を遂げ、翌年のフェブラリーステークスと、東京大賞典も制している。
同い年のカジノドライヴ(牡、父マインシャフト、美浦・藤沢和雄厩舎)の新馬戦もすごかった。2008年2月23日、京都ダート1800mで、武豊を背に、2着に2秒3差をつけた。そして、次走、アメリカのピーターパンステークスで、日本馬によるアメリカのダート重賞初制覇という快挙をなし遂げた。