Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
['99年&'00年世代の回想]横浜高校「松坂大輔の幻影と戦った男たち」
posted2022/08/04 07:03
text by

日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Hideki Sugiyama
松坂大輔を主役とする横浜高校の伝説は、'98年夏の甲子園決勝、京都成章戦でのノーヒットノーランで幕を閉じた。準々決勝のPL学園戦、準決勝の明徳義塾戦と劇的に勝ち上がっていく過程の物語は、これまで数々のメディアで語り尽くされてきた。
だが、直後の横浜に迫った記事は見当たらない。同校が次にスポットを浴びるのは、成瀬善久と涌井秀章がいた'03年。その間には、いわば空白の歴史が横たわっている。
「マジで初めてですよ。おれらの代を取り上げようなんて」
松本勉が苦笑交じりに呟く。唯一の2年生レギュラーとして春夏連覇を経験し、新チームでは主将に就いた。ただ、甲子園が閉幕した時点ですでに8月下旬。秋の神奈川県大会の初戦が2週間後に迫っていた。
「新チームとしての練習が全然できなかったので不安はありました。でも、ピッチャーの2人がいたのはデカかった」
松本と同じく2年生ながら甲子園でメンバー入りしていた袴塚健次と齋藤弘樹。左腕の袴塚が先発し、右腕の齋藤へとつなぐのが新生横浜の型だった。
松坂の背番号1を譲り受けた袴塚は言う。
「重かったですよ。そんな資格もないですし、やめてくれって言いたかった」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り: 5043文字
NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。
