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「地球に生まれてよかったー」名言も誕生…世界陸上キャスター・織田裕二はなぜ愛されたのか? 陸上関係者の証言「練習とか、一生懸命見ていた」
posted2022/07/25 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
7月16日(日本時間、以下同)にアメリカ・オレゴンで開幕した世界陸上選手権は、25日、大会最終日を迎えた。
大会ではフィールド&トラックなどでの選手たちの活躍に加え、開幕前から注目されるニュースがあった。これまで大会のメインキャスターを務めてきた織田裕二と中井美穂がオレゴン大会をもって卒業する、つまり最後の大会になることが発表されていたことだ。
2人が初めてキャスターに就いたのは1997年のアテネ大会だから、13大会連続、25年にわたり務めてきたことになる。とりわけ織田の存在は、「世界陸上といえば織田」と言えるくらい浸透し、結びついていただけに、最後となることは反響を呼んだ。
テンションが高すぎる…就任当初は批判も多かった
1991年の『東京ラブストーリー』で一気に人気を高め、1993年の『振り返れば奴がいる』も話題となった織田は1997年、代表作の1つと言える『踊る大捜査線』に主演。時代をリードする俳優と表すことができる位置にいる中での、メインキャスター就任だった。
ただ、メインキャスターとしてのここまでの道のりは、必ずしも順風満帆というわけではなかった。
アテネののちもメインキャスターとしてキャリアを重ねたが、当初、織田に対する批判的な視線も決して少なくはなかった。
しばしばあげられたのは、テンションの高い喋りっぷりについてであったり、感情をストレートに押し出すスタイルについてだった。とりわけ、陸上の熱心なファンの人からは、競技そのものを楽しみにくい、入りにくくなるという感想があったという。
“選手のキャッチフレーズ問題”で…
もう1つ批判的な眼差しにさらされることになったのは、中継での演出に理由があった。それは選手を紹介するときにつけるキャッチフレーズだ。
例えば、
「大阪タケノコムスメ」
「走るねずみ女」
「世界最速の受付嬢」
「100万ドルで国籍を売った男」
「時をかける万能少女」
などなど……。
選手にキャッチフレーズの類がつけられるのは、何も世界陸上だけではなく、昔からあったことだ。
だが世界陸上の場合、選手の競技上の特徴や個性とかけ離れた言葉がつけられがちで、侮蔑的なものも含まれていた。つけられる対象である日本代表チーム内でも不満は生まれていた。
キャッチフレーズについては織田に直接責任があったわけではない。ただ、メインキャスターである織田にも矛先は向くことになった。