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「なんの涙かわからないんです」田中希実22歳の3種目挑戦に、あの女王ハッサンもテンション爆上がり!「本当?うれしい!」《世界陸上の感動秘話》

posted2022/07/26 17:05

 
「なんの涙かわからないんです」田中希実22歳の3種目挑戦に、あの女王ハッサンもテンション爆上がり!「本当?うれしい!」《世界陸上の感動秘話》<Number Web> photograph by Getty Images

世界陸上で中距離3種目に出場し、9日間で5レースを走りきった田中希実

text by

及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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Getty Images

 7月23日。5000mの決勝を終えた田中希実は泣き腫らした目で記者の前に現れた。

「くやし涙なのかな」

 そう尋ねると、目を潤ませながら応じてくれた。

「なんの涙か分からないんです。昨日からなんの涙か分からない涙が出てきて」

 そう話す間も涙が頬をつたう。

 3種目に挑戦したものの「目に見えて分かるタイムや順位が、最後までついてこないまま終わるんじゃないかという怖さがあった」と話すように、思うような結果がついてこないことへのプレッシャーもあったのだろう。

異例の3種目に挑戦。9日間で5レース

 田中が世界陸上オレゴン大会で走ったレースは5本。30度を超える暑さの中で彼女は3種目に挑戦し、全力を尽くした。

 7月15日(金)1500m予選 4分05秒30(組7位、全体14位で準決勝へ)
 7月16日(土)1500m準決勝 4分05秒79(組6位、全体15位で決勝進出ならず)
 7月20日(水)5000m予選 15分00秒21(組9位、全体14位で決勝へ)
 7月21日(木)800m予選  2分03秒56(組7位、準決勝出場ならず)
 7月23日(土)5000m決勝 15分19秒35(12位)

 入賞や自己記録など、「目に見えて分かる結果」はついてこなかったが、世界選手権という舞台の中長距離種目で両方を目指すのは限りなく難しい。チャンピオンシップでは勝負に徹する選手が多く、今大会の5000m決勝のようにスローペースになることも多いからだ。

 常に上を見ている田中は今回の結果に全く満足していないと思うが、体力的、精神的に厳しい中、最後まで戦い抜いた。

東京五輪で3種目に挑戦した中長距離の女王

 田中が3種目に挑戦すると聞いた時、真っ先に頭に浮かんだのはオランダのシファン・ハッサンだった。

 ハッサンは東京五輪で1500m、5000m、1万mに挑戦し,1500mで銅メダル、5000mと1万mでそれぞれ金メダルを獲得した。6レースの走行距離は2万4500m。国立競技場を61周と100m駆け抜けた。

 ほぼ連日出場し、記録だけではなく記憶にも残るレースや談話を残してくれた。

【次ページ】 ハッサンにノゾミ・タナカの挑戦について伝えると…

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