オリンピックへの道BACK NUMBER
「羽生結弦は引退」と書いた“フライング報道”への違和感…本人発表を待たないスクープの“リスク”とは「選手の心理が変わることもある」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2022/07/21 11:00
7月19日、会見にて今後について明かした羽生結弦
浅田真央は最初にブログで引退を報告
また近年は、競技生活の進退などの重要な知らせを、ブログやSNSで先に発表し、その上で記者会見を開くケースも増えている。
2017年4月には浅田真央がブログで、「突然ですが、私、浅田真央は、フィギュアスケート選手として終える決断を致しました。」の一文で始まる文章で報告し、その後記者会見を開いている。
今年の3月には宮原知子が「この度、現役を引退することを決断いたしました。」と記し、ブログとSNSで発表している。
2人に限らず、そしてフィギュアスケートに限らず、少なくない選手が自らの媒体を用いて情報を発信する。日本にとどまらず、海外でもサッカーやテニスなどのトップカテゴリーに位置する選手がそうするケースが見られる。
ファンの人をはじめ応援している人々に真っ先に伝えたい、ダイレクトに伝えたい、という思いもあるだろう。
あえて“記者会見”を選んだ羽生の思い
対して今回、羽生は記者会見で自身のこれからを明らかにする方法を選んだ。羽生はブログやSNSをしていない。ただ、記者会見によらず先にネット上でダイレクトに公表する手段はあっただろう。
それでも記者会見という場を選んだのは、まずは自らの言葉で語りたい、言葉を広く伝えてほしいという思いからではなかっただろうか。
会見の内容、そして羽生の思いに考えを巡らせると、先立っての記事について、“どうだったろうか”と感じるのは否めない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。