Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER

羽生結弦を支えた振付師ジェフリー・バトルが語っていた“誇らしさ”「彼にとって、満足のいく挑戦をすることが何より大事だった」

posted2022/07/22 11:01

 
羽生結弦を支えた振付師ジェフリー・バトルが語っていた“誇らしさ”「彼にとって、満足のいく挑戦をすることが何より大事だった」<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

7月19日、決意表明会見を行った羽生結弦。振付師のジェフリー・バトルが語った“羽生のこれから”への思いは…

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

PROFILE

photograph by

Ryosuke Menju/JMPA

7月19日に決意表明会見を行った羽生結弦。雑誌『Number』は北京五輪の直後、振付師のジェフリー・バトルにインタビューを行っていた。羽生を長年にわたって支え続けた男が語った羽生のキャリア、そして今後への思いとは――。これまで有料公開されていた記事を、特別に無料公開します。《初出『Number』1046号(2022年3月10日発売)》

 長年にわたって、羽生結弦の振付を担当してきたジェフリー・バトル。北京オリンピックの羽生の演技を見終えて、彼は本誌の独占取材に応じた。最初のジャンプが氷上にあった穴のために失敗という、厳しい出だしになったSPについて、まずはこう感想を述べた。

「エッジが穴にはまってしまったのは、本当に残念でした。ジャンプに入るための体勢などは、完璧に見えたのですが。氷の問題は全てのスケーターの競技人生において起こり得る事故で、ぼくも何度か経験しています。普通は、あと少しこうしておけば、ああしておけば、と後悔の念で圧倒されるのですが、ユヅはそこで引きずることなく、気持ちを切り替えて残りをノーミスで滑り切った。これはなかなかできることではありません」

 自らの競技時代の体験と、振付師になった今の両方の視点からこう説明する。

「ミスが出てもすぐに切り替えてというのはコーチ、振付師としては常に生徒に指導すること。でも実際には競技者として、それは簡単なことではない。ここまで多くの経験を積んできた彼だからこそ、可能だったのだろうと思います」

羽生とともに作り上げたプログラム

 今シーズンのSPのサン=サーンス作曲『序奏とロンド・カプリチオーソ』は、バトルとシェイ=リーン・ボーンのコラボレーションとされている。これまではSPをバトル、フリーをシェイ=リーンが振り付けてきた。二人が一つのプログラムを振り付けるというのは、どのような作業だったのだろうか。

「昨シーズンの終わりから、次はピアノ曲で滑りたいとユヅから相談を受けていたので、ぼくの方でも色々と探していました。その後、彼の方で気に入った音楽としてこの『序奏とロンド・カプリチオーソ』を見つけ、元々バイオリンの曲だったのをファンタジー・オン・アイスで競演したピアニストに、彼のためにアレンジして演奏してもらったのです」

【次ページ】 「これは彼自身のキャリアですから」

1 2 3 NEXT
#羽生結弦
#ジェフリー・バトル
#北京冬季五輪
#オリンピック・パラリンピック

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ