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「なぜ宝塚歌劇の町に競馬場がある?」「阪神競馬場には行くけれど…」阪急電車の“ナゾの競馬駅”「仁川駅」には何がある?《宝塚記念》
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph bySankei Shimbun
posted2022/06/26 06:00
1998年の宝塚記念(阪神競馬場)で優勝したサイレンススズカ。これが最初で最後のG1勝利だった
仁川駅は相対式ホームで、西宮北口ゆきの列車が東側、宝塚ゆきの列車が西側のホームを使う。競馬場(への地下通路)は東口にあるので、西宮北口ゆきの列車から降りて改札口を通り抜ければすぐに地下通路だ。
駅前の広場に出ることもなく、改札から5歩くらいで通路に突入するあんばい。そのまま地下道を歩いて行けば競馬場に直結なのだから、多くの競馬ファンは仁川の町を歩いたことがないのではないか。
このように、駅と競馬場がちょっと離れている場合には専用の通路が設けられていることが多い。中山競馬場も武蔵野線船橋法典駅から“メモリアルウォーク”なる地下道があるし、京都競馬場は京阪淀駅から高架の専用通路を歩いて向かう。阪神競馬場の場合もそれと同じなので、いつもたいして疑問に思わずに通路を歩くのだ。
ちょっと歩くと西宮市だった
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しかし、平日の仁川駅。競馬場への通路は固く封鎖されている。そこで駅前広場に出て、少し駅の周りを歩いてみる。
競馬場への通路のある東口は、よく整備された駅前広場とそれを囲むようにさらら仁川という商業ビル。マンションの類いもあって、飲食店もいくつか見える。いかにも庶民的なタイプの居酒屋もあるので、競馬ファンが競馬帰りに足を運ぶには悪くない。
駅前広場を抜けると「駒の道」と名付けられた交通量の多い県道が通っていて、それを北に進めば右手に競馬場。きっと、競馬場に通じる道だから「駒の道」になったのだろう。
競馬場とは反対に南に進むとすぐに橋が待ち受ける。この橋が架かっているのは仁川駅のすぐ脇を流れる文字通り仁川という武庫川の支流で、宝塚市と西宮市の市境でもある。つまり、仁川駅と阪神競馬場はほとんど宝塚市の南の端っこにあるというわけだ。
そこからひとけのない競馬場に向かって歩いてもいいのだが、むしろ競馬場以外に何があるのかを見なければならぬ。そこで「駒の道」から路地を入ってみたり、駅の西側に行ってみたり、うろうろと歩き回った。
そこで結果をお伝えすると、まったくこれが住宅地なんです。ちょっと古い一戸建てが並んでいる一角もあれば、比較的新しくて高級感のある一角もあって、駅前にはコンビニやいくらかの商店があるほかは、徹底的なまでに住宅地なのだ。