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「安西先生、バスケがしたいです」桜木花道、ジョーダン…90年代からバスケを見ていない人にこそ教えたい「今のNBAを見ないなんて残念!」
posted2022/06/22 17:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
もしも、1990年代にNBAに耽溺していた人が、なんらかの理由で20年ほど、NBAの試合を見られなかったとする。
1990年代といえば、こんな単語が並ぶ時代だ。
マイケル・ジョーダンに、エア・ジョーダン。
ドリームチーム。
スリーピート(2回ね)。
スラムダンク。
桜木花道。
バスケがしたいです……。
そこで時間が止まっていた人が、2022年のNBAファイナルを見たら、きっとたまげるだろう。
デカい選手が、なんでこんなに上手いんだ!
あの桜木花道がスリーポイントを40%ほどの確率で決める感じなのだ。
さすがに、ゴール下の番人である赤木と魚住にスリーは求めない。
感じとしては、流川、山王工業の沢北がもう5センチほど身長が高く、同じ質のプレーが出来る印象だ。
そういえば、『スラムダンク』の登場人物で、ひとりだけ現代でも通用しそうな選手がひとりだけいた。
山王工業の河田兄だ。
ガードから出発したからドリブルは巧みで、アジリティ(敏捷性や軽快さ)を維持したまま身長が伸びたため、フォワードでありながら細かいプレーが出来る。弟の美紀男は無理だが、河田兄は時代を先取りしたキャラだった。
90年代とはここが違う「スリーポイントの割合が増加」
今年のファイナルに話を戻せば、ゴールデンステイト・ウォリアーズが4勝2敗でボストン・セルティックスを破って4年ぶりの優勝を飾った。この8年間で4度目の王座に就き、まさに黄金時代と呼ぶにふさわしい。
ウォリアーズの選手たちは、みんな巧い。
ステファン・カリー、クレイ・トンプソンにドレイモンド・グリーンの3人は不動の核。
そして今季は、アンドリュー・ウィギンズが大ブレイクし、3年目のジョーダン・プールも台頭した。ディフェンスのスペシャリストで、ゲイリー・ペイトンの息子がいるのもうれしい。