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「小さいから通用しない」と言われると「燃えるタイプ」 女子バスケ“162cm”町田瑠唯(29)のアメリカ挑戦の価値とは?
posted2022/06/28 06:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
「小さいから通用するわけがない」
女子バスケットボール日本代表のポイントガード、町田瑠唯は、かつてそう言われたことが悔しくてしかたなかったと言う。今から11年余前、札幌山の手高校を卒業してWリーグに入ろうとしていたころのことだ。
当時の町田の身長は161cm。確かに、バスケットボール選手としては低いほうだ。それでも、高校では全国優勝チームで活躍し、その実力を認められていくつかのチームから勧誘があった。それでも、無理だと言う声は耳に入ってきた。
「小さくてもできることって色々ある。それなのに身長が低いからできないとか、通用しないって言われるのはすごく悔しい。そう言われると燃えるタイプでした」と、当時を振り返って笑う。
富士通レッドウェーブに入った町田は、通用しないどころかWリーグ新人王に選ばれ、その後11シーズンでリーグのアシスト王を6回取り、ベスト5に5回選ばれている。去年行われた東京オリンピックでは日本代表の司令塔としてチームを牽引して、日本代表が史上初の銀メダルを取るのに大きく貢献した。準決勝のフランス戦ではオリンピック新記録となる18アシストを記録し、大会アシスト王になっている。
平均身長180cm前後、町田は162cm
その町田が今年4月から渡米し、さらに高い世界に挑んでいる。女子バスケットボール界世界最高峰のリーグ、WNBAだ。WNBAは各国リーグがオフシーズンの夏に開催されており、世界中からトッププレイヤーたちが集まる。町田はワシントン・ミスティックスの控えポイントガードとして、ここまで21試合に出場している(6月27日時点)。
その身長は、国内でも「小さい」と言われた11年前とほとんど変わらない162cm。その小柄な身体で、平均身長180cm前後、中には2メートルを超える選手もいるリーグで戦っているのだ。