酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
佐々木朗希が「剛」なら山本由伸は「柔」 日本のエースたる“圧倒的クオリティ”を示す超安定した記録の数々〈今季4人目ノーノー〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/06/21 11:01
佐々木朗希と山本由伸。2022年にノーヒッターとなった2人の投げ合いを熱望する野球ファンは多いはずだ
それから80年が経過し、状況は全く異なるはずだが、今季パのリーグ打率は.236(セは.244)、昨年は.241(セは.251)、1試合当たりの本塁打数は今季が0.631(セは0.760)、昨年が0.797(セは0.881)だから、今季のパの打線は明らかに縮小している。使用球の反発係数に変化はないので、パ・リーグ打線がシュリンクしているのは間違いないところだ。
大きな要因と言える「情報化の進展」
今季のパは若手野手が多く登用され、指揮官が成績に多少は目をつぶっても起用し続けることが多くなっている。そのために打線が弱体化して見えている一面がある。
一方、投手はトラックマンやラプソードなどのトラッキングシステムが手軽に利用できるようになり、自分の投球の回転数や回転角度、軌道などをオンタイムで把握することができる。それをもとに多くの球数を投げ込まなくても投球精度を上げ、新しい変化球を身につけることができる。佐々木朗希などはまさに「時代の申し子」だと言えるが、投手の「情報化の進展」も大きな要因だろう。
1940年は、1回目から4カ月半で4回目の記録が達成された。1943年は5カ月と10日で4回だった。しかし今年は1回目が4月10日、4回目は2カ月と8日後の6月18日。これまでにないハイペースで大記録が達成されている。この傾向はしばらく続きそうだから、5回目、6回目のノーヒットノーランの可能性も大いにあるだろう。
セはヤクルトの勢いが止まらない
<NPB第13週の成績 2022年6月17日~6月19日>
〇セ・リーグ
ヤクルト3試3勝0敗0分 率1.000
阪神3試2勝1敗0分 率.667
中日3試2勝1敗0分 率.667
DeNA3試1勝2敗0分 率.333
巨人3試1勝2敗0分 率.333
広島3試0勝3敗0分 率.000
リーグ戦再開後、最初のカード。ヤクルトは交流戦から引き続き8連勝。対照的に広島は5連敗を喫した。
・個人打撃成績10傑 ※RCは安打、本塁打、盗塁、三振、四死球など打撃の総合指標
塩見泰隆(ヤ)15打8安1本6点2盗 率.533 RC5.85
大山悠輔(神)8打3安3本4点 率.375 RC5.81
村上宗隆(ヤ)12打5安2本3点3盗 率.417 RC5.25
會澤翼(広)8打5安2本3点 率.625 RC4.93
長岡秀樹(ヤ)13打7安1点2盗 率.538 RC4.39
山田哲人(ヤ)13打4安1本4点 率.308 RC3.38
高橋周平(中)11打4安1本2点 率.364 RC3.36
大島洋平(中)13打6安2点 率.462 RC3.25
A.マルティネス(中)10打4安1本2点 率.400 RC3.20
京田陽太(中)10打5安1盗 率.500 RC3.16
連勝中のヤクルトの勢いが止まらない。塩見、村上、長岡、山田が好調だった。阪神の大山は3安打すべてが本塁打だった。中日の京田は6月17日に二軍から復帰してすぐに活躍。本塁打は大山の3、打点は塩見の6、盗塁は打撃で圧倒的な存在感を放っている村上の3がトップだった。
・個人投手成績10傑 ※PRはリーグ防御率に基づく総合指標
サイスニード(ヤ)1登1勝8回 責0率0.00PR3.92
大野雄大(中)1登1勝8回 責0率0.00PR3.92
菅野智之(巨)1登7回 責0率0.00PR3.43
伊藤将司(神)1登1勝9回 責1率1.00PR3.41
シューメーカー(巨)1登1勝7回 責1率1.29PR2.43
森翔平(広)2登3回 責0率0.00PR1.47
田中健二朗(De)3登1H2.1回 責0率0.00PR1.14
木澤尚文(ヤ)1登1勝2回 責0率0.00PR0.98
平内龍太(巨)1登1H2回 責0率0.00PR0.98
R.マルティネス(中)2登1勝1S2回 責0率0.00PR0.98
中日の大野雄大が8回零封、ヤクルトのサイスニードは8回1失点(自責なし)の好投だった。阪神の伊藤将司は自責点1の完投勝利。救援では4投手が1セーブ、11投手が1ホールドを挙げている。