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不調説→“2ホーマーの8試合目”…大谷翔平が修正した「ほんのわずかなズレ」とは? NHK解説者・小早川毅彦が指摘「投打両面で今は分岐点」
text by
小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2022/04/17 06:00
今季8試合目で2本塁打を放った大谷翔平。NHK解説者・小早川毅彦氏に聞く、大谷の状態と昨季からの変化について
レンジャーズ戦では9番のハイムに甘く入ったスプリットをとらえられ、グランドスラムを浴びました。スプリットは昨シーズン、被打率1割を切る“魔球”で、ホームランにされたのは初めて。ただし、見た限りでは投手なら誰でもある失投なので気にすることはない。バーランダーでもカーショウでもこんなことはありますから。
試合数を重ね、打者との対戦で球数を増やしていくなかで制球力は自然に上がっていくはず。まず「1勝目」の勝ち星を挙げることが何よりの薬になるでしょう。
打者編)開幕直後「後ろに飛ぶファウル」が多かった理由
「打者・大谷」としては、15日(日本時間16日)のレンジャーズ戦で待ちに待った今シーズン1号が飛び出し、第3打席でも2本目。そこまで30打席ノーアーチでファンの方も気をもんでいたと思いますが、ようやくいいスタートを切ることが出来ました。
前日の同カードまで、私が打撃フォームを見て昨シーズンと一番違いを感じていたのは、スイングの軌道がややアッパー気味になり、打球を捉えるポイントが近くなっていたこと。踏み出す右足の前くらいで打ちたいところが、キャッチャー寄り、極端に言えば体の真ん中のおへそくらいの位置で捉えていたイメージです。だから差し込まれて、ボールがバットの上っ面に当たっていた。バックネットを越えていくような「後ろに飛ぶファウル」が多かったのはそのためです。
14日(日本時間15日)の試合後に、大谷選手自身が「動き出しの準備が少し遅れているところが、そういう原因かなと思います」と話していました。始動が遅れるというのは感覚的なところで、おそらく何百分、何千分の1秒といった次元の話でしょう。裏を返すと、やはりポイントがわずかにずれているので、パワーを作り出すスペース=距離がないんですよね。その分、自ずと後ろを大きくして距離を作っているので本人が思うよりもバットのヘッドの先が下に落ちてしまう。ほんのわずかですが、ポイントまで遠回りになっていたんです。