今季1号の打席は、この部分が全てクリアになって、踏み出した右足の前のいいポイントでボールを捉えられていた。一夜でここまで修正できるのですから、やはり並大抵の打者ではありません。

相手の攻め方はどう変わった？　「今は彼にとっての分岐点」

　昨年46本塁打をマークした大谷選手には、対戦相手も当然、攻め方を研究をしてきている。例えば150kmを超える球速のある投手は、高めの速球を多く投じていますし、変化球投手ならばチェンジアップやフォーク、シンカーなど低めに落とすボールを効果的に使っているのが顕著です。　

　開幕戦から7試合では10三振と、三振の数が多いのにはその辺りの理由もあるとは思いますが、内容を見ると完全に崩された形での空振りはそこまでないんです。追い込まれる前までは変化球もよく我慢しているし、合わせにいくようなスイングはない。しっかり自分の形を作れているのはいい兆候です。

　投打両面で、今は彼にとっての分岐点。2本アーチが飛び出したということで、投打両面で好転していく大きなきっかけになればいいですね。喩えて言うならば、大谷選手は「大きい歯車」なんですよ。回りだすまでに時間がかかる。その代わり、回り始めれば誰にも止められない。その“出力”も、僕が見る限り去年よりずっと上がっていますから、走り出したらあっという間にリードを広げていくんじゃないかと感じています。

構成：佐藤春佳

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