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“無敗の皐月賞馬”は誕生するか…イクイノックスら“異例のローテーション”に心配はない? 有力馬が“初めて激突”で混戦必至
posted2022/04/16 11:02
text by
島田明宏Akihiro Shimada
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Photostud
高松宮記念、大阪杯、そして桜花賞と3週連続で1番人気が敗れ、それぞれ8、8、7番人気の伏兵が勝利をおさめた。クラシック三冠競走の皮切りとなる第82回皐月賞(4月17日、中山芝2000m、3歳GI)も、波乱の決着となるのだろうか。
初顔合わせの有力馬たち…混戦の予感
ここ数年、牝馬なら桜花賞、牡馬なら皐月賞が年明け初戦となるローテーションが珍しくなくなっている。今年の皐月賞にも、それに当てはまる馬が3頭いる。
昔より一戦ごとの消耗が激しくなり、疲れを取り除くのに時間が必要になった。それからまた仕上げていくと、どうしてもレース間隔が長くなる。こうなると、前哨戦でぶつかり合う機会も少なくなり、有力馬がクラシックで初顔合わせというパターンが多くなる。
今年の皐月賞は非常にハイレベルだと言われているのに、重賞を2勝した馬が一頭もいない。前哨戦の勝ち馬がすべて異なるのが当たり前の時代になったのだ。
当然、予想は難しくなる。
“異例のローテーション”で挑むイクイノックス
そんな時代を象徴する、これまでの「競馬の常識」からすると異例のローテーションを歩む有力馬がいる。昨年の東京スポーツ杯2歳ステークスを勝って以来の実戦となるイクイノックス(牡、父キタサンブラック、美浦・木村哲也厩舎)である。
昨年8月、新潟芝1800mの新馬戦を6馬身差で圧勝し、つづく11月20日の東京スポーツ杯2歳ステークスも、上がり3ハロン32秒9という凄まじい末脚で完勝。このレースは、過去10年でイスラボニータ、サトノクラウン、ワグネリアン、コントレイル、ダノンザキッドといったGIホースが勝っている出世レースとして知られている。
それ以来、中147日の実戦。これまでの皐月賞の最長間隔勝利は、ホープフルステークス以来となった2020年のコントレイルの中112日なので、勝てば記録を35日更新することになる。
管理する木村哲也調教師は、早い段階でこのローテーションを決めていた。リカバリーに時間がかかる馬なので、使い出しが早くなると、いい状態をダービーまで維持することが難しくなるからだという。