《皐月賞》ゴールドシップ“驚異のワープ”、エフフォーリアGI初制覇など数々のドラマが…レース後に掛かってきた「藤沢和雄からの電話」

　今週末、中山競馬場で皐月賞（GI、3歳、芝2000メートル）が行われる。

　先週の桜花賞に続くクラシック第2弾。今年は牡馬ばかり、18頭フルゲートで争われる。この皐月賞はダービーや菊花賞にもつながるビッグレースだけに過去にも名勝負が繰り返されてきた。

10年前の皐月賞、ゴールドシップが見せつけた“ワープ”

　ちょうど10年前の2012年。空は晴れていたが、馬場は雨を含み発表は稍重。出走各馬が荒れたインコースを嫌って外へ進路を取る中、思い切って内を突いたのがゴールドシップ（栗東・須貝尚介厩舎）だった。

　向こう正面では最後方に位置していたこのステイゴールド産駒の芦毛馬は、3～4コーナーでインを突くと、まるでワープするように先団へ。最後は2着のワールドエースに2馬身半の差をつけてゆうゆうとゴール。後に個性派として名を売る馬らしい印象的な走りを披露しての優勝劇だった。当時、手綱を取っていた内田博幸騎手は言った。

2着に2馬身半差をつける圧勝劇を見せたゴールドシップの皐月賞　©Satoshi Hiramatsu

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「返し馬で馬場を気にせずに走っていたので内を突いても大丈夫だと思いました。実際、思った以上に苦にせずに走ってくれました。作戦勝ちというより、馬が本当に上手に走ってくれました」

　今年の皐月賞も馬場状態が微妙で、道悪馬場の巧拙が明暗を分ける可能性もありそうだ。10年前の再現のようなレースがあるかも知れない。

横山武史とエフフォーリアは皐月賞から大ブレイク

　鞍上、鞍下共に初のGI制覇となった昨年の皐月賞は記憶に新しい。

　一昨年の20年、横山武史騎手があげた勝ち鞍数は94。当時22歳の若さで関東リーディングの座に輝いた。94回の先頭でゴールを駆け抜けたレースの中には自身初の重賞制覇となったフローラS（ウインマリリン）などもあり、飛躍の1年となった。

　そしてその翌年となった昨年、若きリーディングジョッキーは更なるジャンプをして見せるのだが、その最初の一歩となったのがこの皐月賞。タッグを組んだのはエフフォーリア（美浦・鹿戸雄一厩舎）。これが同馬のデビュー以来4戦連続でのコンビだった。

昨年の皐月賞でのGI初制覇を皮切りに、年度代表馬まで上り詰めたエフフォーリアと横山武史　©Satoshi Hiramatsu

「新馬戦ではモノ見をしたし、2戦目ではスローペースだった事もあり少し掛かってしまいました。でも、そこで我慢させた成果もあり、3戦目（共同通信杯）は、また掛かりそうになったものの抑えたらすぐ折り合ってくれました」

　学習能力の高さを感じた鞍上は、鹿戸調教師からも言われた通り「馬を信じて自信を持って騎乗した」。

「枠順（4枠7番）も絶好だったし、道中はインだったけどそれほどキックバックも浴びませんでした。馬場が少し荒れていたから、直線では絶対に前が開くと思って乗っていました」

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