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かけっこで「ビリ」だった川内優輝はなぜ日本代表になれた? 子どもの才能を潰さないための“早生まれ”への理解
posted2022/04/15 17:00
text by
鈴木威/バディスポーツ幼児園理事長Takeshi Suzuki
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
多くの子どもたちを見てきた鈴木威理事長は、才能を伸ばす上で「早生まれ」、つまり「月齢」を理解することが重要だと語る。今年3月刊行された『スポーツでかなえる最高の教育』(鈴木威著/徳間書店)から一部を抜粋し、紹介する。
私が月齢の差に注目するようになったのは、2007年に全国少年少女草サッカー大会でバディが優勝し、そのチームで韓国遠征に行ったことがきっかけです。
私は全国優勝した、その年のチームにかなりの自信をもっていましたが、韓国のチームにはまったく歯が立たず、モヤモヤした気持ちを抱えて帰国しました。
それから、私はなぜ韓国のチームがあれほどまでに強かったのかを調べることにしました。そこでわかったのが月齢の差でした。
日本は学年が4月から始まるのに対し、韓国は9月から始まるのです。日本の子どもと比べると、半年の月齢の差が生じることになります。
つまり、あのときの試合は、日本の学年の感覚でいえば、小学生チームが中学1年生のチームと試合をしていたようなものだったのです。
これを機に、私はスポーツにおける月齢の影響を調べるようになりました。
そして、興味深い結果が出たのが、2008年の全日本少年サッカー大会(現JFA全日本U−12サッカー選手権大会)に進出した48チームの月齢の差です。
全敗した沖縄チームは“4月生まれ”が0人
大会に参加した小学6年生は合計で690人いました。そのうち4~6月生まれが247人(35.8%)、7~9月生まれが196人(28.4%)、10~12月生まれが162人(23.5%)、1~3月生まれが85人(12.3%)でした。
これだけでも月齢差による傾向はわかりやすく出ていますが、その年に優勝した埼玉のチームのメンバー構成を見ると、ほかのチームと比べても4月生まれの割合が圧倒的に多かったのです。
ちなみに全敗だった沖縄のチームには、4月生まれがいませんでした。