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オープン戦最下位だったのに…開幕3タテのヤクルト、1年前と先発オーダー9人の平均年齢を比べてみた「去年は30.8歳、今年は?」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2022/03/29 11:08
ヤクルト対阪神の開幕戦9回、山田哲人が特大の一発で同点(8対8)に
「正直、目立った新戦力の台頭は期待できないかもしれない。ただ、戦力の上積みはしなければいけないわけで、その意味では選手のポテンシャルを十分に発揮させることを考えてます。先発は外国人の先発投手が合流するまでは、いろいろな投手に登板のチャンスがあると思います。ブルペンでは、石山(泰稚)を復活させ、若手では梅野(雄吾)、星(知弥)に中盤の厳しい場面で抑える力を身につけて欲しいですね」
高津監督は、常日頃から「中盤」の重要性を語る。
どちらに転ぶか分からない試合の中盤、5回、6回に先発が降板した後に、しっかりと相手を抑えられる投手の必要性を重視している。
また、開幕戦のように序盤にリードを許しても、モップアップ(汚れた床を掃除する人で、アメリカではこの用語が使われる)が相手に追加点を許さず、打線の反撃を待つことも重要だという。実際、開幕戦では4失点はしたものの、後続を抑えた大下佑馬、坂本光士郎、梅野が5回以降を無失点に抑えたことが逆転劇を生んだ。
高津監督の期待に、それぞれの投手が応えた印象だ。
開幕前、“最大の不安”は…
開幕を迎えるにあたって、最大の不安は正捕手の中村悠平が故障で戦線を離脱していることだった。復帰のメドは立っておらず、そこまで20代の捕手でつながなければならないのが、スワローズの弱点になると思われた。
開幕戦、2戦目とマスクをかぶったのは古賀優大。古賀は初戦の乱戦をしのぎ、2戦目では高橋奎二の思いきりのいいピッチングを引き出した。高橋の投球は、相手をドミネート、圧倒する勢いがあった。これは古賀の自信にもつながるだろう。
そして3戦目は、立教大、西濃運輸を経て入団し、5年目を迎えた松本直樹が起用され、高梨、石山、大西広樹、梅野の完封リレーを演出し、松本にも使えるめどが立った。
加えて、初戦では5回から2年目の内山(遊撃手との二刀流も検討されている模様)が登場、8回には貴重なタイムリーを打ち、打撃面でのアピールを続けている。
高津監督の言葉通り、「育てながら勝つ」ことが実現できた開幕カード。
若手が「出来る男」になるためには、まだまだ時間が必要だろうが、3試合を見た限りでもチーム内の競争は激しくなっていることが分かる。
3月29日からは、神宮に巨人を迎える。
今季のリーグ優勝を争いそうな2チームの力比べ。
出来る男たちの仕事ぶりに注目だ。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。