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オープン戦最下位だったのに…開幕3タテのヤクルト、1年前と先発オーダー9人の平均年齢を比べてみた「去年は30.8歳、今年は?」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2022/03/29 11:08
ヤクルト対阪神の開幕戦9回、山田哲人が特大の一発で同点(8対8)に
開幕戦こそ特別なストーリーが展開した試合だったが、2戦目、3戦目では中盤まで先発がゲームを作る。そして打線が、相手投手と3巡目の対戦になったところで、襲い掛かってリードを広げる。
継投に入ってからも投手の実力の凸凹が少なく、9回までをつないでいく。
派手さでは初戦の勝利が劇的だが、「中盤まで競った試合になったら、ベンチワークが勝負を分けます」と話す高津監督からすれば、2、3戦目の方が充実感は大きいのではないか。
そして好材料は、若手が活躍していることだ。
球場こそ神宮から京セラドームへと移ったが、去年の開幕カードも同じ阪神との対戦だった。先発オーダーを比較してみよう。
2021 2022
坂口(36) 塩見(28)
青木(39) 青木(40)
山田(28) 山田(29)
村上(21) 村上(22)
内川(38) サンタナ(29)
塩見(27) 長岡(20)
西浦(29) オスナ(29)
中村(30) 古賀(23)
小川(30) 小川(31)
昨季の先発9人の平均年齢は30.8歳、それが今季は27.8歳へと3歳若返っている。アメリカでは選手の「プライムタイム」は25歳から30歳の間と言われており、日米の違いがあるとはいえ、ヤクルトは理想の年齢に近い形でメンバーが組めている。
そして、開幕カードで爆発したサンタナ、オスナの両外国人の存在が大きいことも分かる。
オープン戦最下位の事情
もともと、
「育てながら勝ちたい」
というのが高津監督の理想である。
「二軍と違って、一軍は目の前の勝利に全力投球。ファンのみなさんのためにも、それが当たり前です。それでも、3年後、5年後のスワローズを考えた時に、若手を育成しながら試合をモノにしていきたいんです」
オープン戦は最下位に甘んじたが、監督の「意図」は明確だった。若手に出番を多く与え、一軍のプレーになれてもらう。開幕カードを見れば、オープン戦での投資が生きていたことが分かる。
打線では6番に入った長岡が、初戦は3試合で6安打と好調。ただし、守備では初戦の2回にダブルプレーにおあつらえ向きの打球を捕球できず(記録はヒット)、先制点を与えるきっかけを作ってしまったが、これも育てながら勝つためには必要なことなのかもしれない。
また、代打で本塁打を放った濱田は思い切りのいいスイングを披露し、監督の期待の高さをうかがわせている。
「新戦力の台頭は期待できないかもしれないが…」
投手陣はどうか。
浦添キャンプで高津監督は、こう話していた。