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幼稚園児が4時間も練習できる? 野球離れの原因は“長すぎる練習時間”…学童野球に必要なのは“大人の指導”ではない

posted2022/02/24 06:00

 
幼稚園児が4時間も練習できる? 野球離れの原因は“長すぎる練習時間”…学童野球に必要なのは“大人の指導”ではない<Number Web> photograph by Yu Takagi

三振なし、ユニフォームがなくても参加OKの「オレンジボール」。子どもたちの楽しそうな表情が印象的だった

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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「これ見てよ」

 小学校低学年の子どもを持つ友人が見せてくれたのは、学童野球チームへの勧誘のチラシだった。こうしたチーム一つひとつが野球界の草の根や底辺を支えてくれているのは間違いない。

 しかし、これでいいのだろうか? と思うことも多々ある。

 この友人がなかば呆れながらこのチラシで指摘したのは、練習時間の長さだ。“幼稚園年長〜初心者向け”と称されたチームの案内には「練習時間は朝7〜11時」と記載されている。

「これが野球離れの一因だと思うよ。小学校低学年の子が持つ集中力なんて10〜15分だよ。サッカーは、4つの練習を15分ずつやって1時間で終わりと聞いた。それなのに野球は……」

 長すぎる練習時間は、当然、親の負担も増える。嘆きは止まらなかった。

“野球で遊ぶこと”に大人の介入はいらない

 大人が子どもの野球に過度に介入するシーンは、これまでも多く見てきた。練習中の罵声やストライクゾーンが狭い小柄な選手を1番打者に起用し、バットを振らせずフォアボールを狙う……そんな指導が子どもたちを野球から遠ざけてしまっているという声はよく耳にする。

 昭和の時代までは、河川敷や空き地で、子どもたち同士でルールを作り、野球で遊んでいた。だが、平成・令和と時代が移り変わる中、都心部でそのような場所は今やほとんどない。だからこそ、大人が「野球する場」を提供しなければいけないが、大人の都合で「大人の野球」を子どもたちに強いてしまっていたりするケースは多い。

 ただ、こういう現状に問題意識を持つ人々がいることも忘れてはならない。今回は興味深い事例をいくつか紹介したい。

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