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FC東京・森重真人キャプテン再就任「俺らが若いときは、というフレーズは絶対に使わない」“ボス感”半端なかった5年前からの変化
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byF.C.TOKYO
posted2022/02/14 17:01
新たに就任したアルベル監督からキャプテンに任命されたFC東京DF森重真人
「“俺らが若いときは”というフレーズは絶対に使いません。世代によって時代によってやり方もアプローチの仕方も違っていますから。オジさんなりに現代のやり方を勉強する意味でも、同じ目線でしゃべることにしています。自分の価値観を当てはめないようにはしているつもり」
ピッチに立てば誰よりも新指揮官の考えを理解して動き、プレーで引っ張ることに変わりはない。それとともに監督と選手の間に入ってつなぎ役となりつつ、ディスカッションもプライベートトークも駆使して相互理解を深めようとする。ハッキリ言って、その仕事量はかなり多い。だからこそ本当の覚悟を固めるまでに数日の時間を要したわけだ。
読書の時間も増えている。
iPadに自伝ものなど4冊を購入してキャンプ中、読むようにした。知識や情報を広げていくことでいろんなことが見えてくるようにもなる。キャプテンを提示され、そのイメージを膨らまして実行していく様は、読書を通じた心の栄養分が大きいようにも思える。
コンディション安定の秘訣「重要なのは頭」
プレー自体も34歳にして下降線にあるとは感じない。
アルベル監督のもとセンターバック、アンカーの両方で使われており、体制が変わっても最重要キーマンであることは言うまでもない。
コンディションが良好なことも関係している。2017年に左腓骨筋腱脱臼で長期離脱してからは大きなケガに見舞われておらず、2020シーズンまで在籍した上松大輔コンディショニングコーチの指導に沿った新たな調整法が実を結んでいる。頭脳まで疲労させないのが森重流である。
「やるべきことをやっていればコンディションは自然と整う。重要なのは頭。多少、体が疲れていたとしても頭さえしっかり働かせられれば(体の)疲れを消すことができる。敢えてそういうマインドにしてやっています」
ストレッチも試合までの1週間、同じやり方にするのは、ルーティンにすることで「考える」要素を省きたいから。その分「より考えるべきところに集中できる」という効果が、森重の変わらないパフォーマンスを支えている。