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FC東京・森重真人キャプテン再就任「俺らが若いときは、というフレーズは絶対に使わない」“ボス感”半端なかった5年前からの変化 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byF.C.TOKYO

posted2022/02/14 17:01

FC東京・森重真人キャプテン再就任「俺らが若いときは、というフレーズは絶対に使わない」“ボス感”半端なかった5年前からの変化<Number Web> photograph by F.C.TOKYO

新たに就任したアルベル監督からキャプテンに任命されたFC東京DF森重真人

 小平グランドで始動し、沖縄・国頭村でキャンプイン。指揮官の「ボールを愛せ」との大号令のもと、長谷川健太体制とは大きく異なるポゼッションスタイルへの転換を図っていく試みがスタートした。森重は自ら監督と選手の間に入る“つなぎ役”となっていく。

「監督の理想を選手に伝えて、逆に選手から出た疑問を監督に投げ掛けて、それをすり合わせてチームづくりをするところで自分がキャプテンに選ばれたんじゃないかと思いますから。実際、選手から“この場合どうしたらいいの?”という声が上がって、自分でもその答えが分からないこともある。そうなると監督になるべく早く聞きに行く。自分が一番早く理解しなきゃいけませんから。分からないままやっていくとギャップが開いてしまうだけなので」

 キャンプでも通訳を交えて森重が監督とコミュニケーションを取る姿が目撃されている。そして個々の選手とも。

 役割としてはメッセンジャーではない。

 どちらかと言うとパイプ役のファシリテーター。

 チームの歴史、伝統を知る彼だからこそ、指揮官とはコミュニケーションにとどまらずディスカッションとなるケースも出てくる。

「自分が何を考えているか分からない感じだと、監督も困ると思うんです。だから何でも言わせてもらう。“勝つため”という大前提があって、リスペクトがあって目指しているところが同じならば、ディスカッションでより濃くなってくるんじゃないかと思うんです」

 森重は意図をそう説明する。

「構える」から「動く」へ

 2017年までの森重キャプテン像は、何よりもプレーで引っ張っていくボス感が半端なかった。守備を統率してドンと構えておく。ピッチ外でもどちらかと言えば、そんな印象のほうが強かった。

 しかし“帰ってきたキャプテン”は「構える」よりも「動く」に軸を置いている。いや、自然とそう見えてくる。

 若手に対する距離のとり方一つとってもそうだ。ひと回り下になる選手も少なくないなか、自分のほうからアプローチする。「若い選手がよく見ているから」という理由でTikTokをチェックして、最新のミュージックチャートも聴いている。

「まあ、話題が合うのが一番なので。若手同士で何か話をしていたら、そこに割り込んでいくこともありますよ。まあ、そういうことも積極的にやっていこうかな、と」

 敢えて若手と同じ目線に立つことで、彼らの考え方を理解できる意味もある。森重が言葉を続ける。

【次ページ】 「俺らが若いときは」とは絶対に言わない

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