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J開幕前の調整ではなく…浦和にとって「決勝」だったスーパー杯 “リカルド監督が暗示した2-0”とタイトル獲得への飢え
posted2022/02/14 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kaz Photography/Getty Images
あくまでも本番は2月18、19日に開幕するJ1リーグ――。
シーズン開幕に先駆けて行われるスーパーカップを、両チームが最終調整の場と捉えていたとしても、違和感はない。
実際、3大タイトルと言えば、J1リーグ、ルヴァンカップ、天皇杯を指す。J1王者と天皇杯覇者が対戦するスーパーカップは含まれていない。
しかし、このタイトルを本気で狙っていた人物が、少なくともひとりいる。
浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督である。
1月17日から2月5日まで行われた沖縄キャンプでは、紅白戦や練習試合がメディアに公開される可能性もあったが、最終的にはすべて非公開となった。
クラブの広報担当者は「監督がスーパーカップを含めて獲れるタイトルはすべて獲りたいと話していて。公開できずすみません」と恐縮していた。
さらに、キャンプ終盤に開かれたメディアとの懇親会でリカルド・ロドリゲス監督は、きっぱりとこう言ったのだ。
「あと1週間でひとつの“決勝”が待っています」
指揮官にしてみれば、スーパーカップは調整の場でも、プレシーズンマッチの一環でもなかったのである。
実際、2月12日の富士フイルムスーパーカップで浦和レッズが川崎フロンターレ相手に見せたのは、カップ戦決勝さながらの、勝利への執着心とタイトルへの飢えだった――。
数字では表しきれない浦和のフォーメーション
試合が始まって思い浮かんだのは、ジョゼップ・グアルディオラの、かの有名なフレーズだ。
「フォーメーションは電話番号のようなもの。単なる数字の羅列にすぎない」
スターティングラインナップが発表されたとき、浦和のフォーメーションを想像することができなかった。さらに、試合が始まっても、理解するまでにしばらくの時間を要した。
強いて数字で表せば、岩尾憲と柴戸海の2ボランチで、ボランチを本職とする伊藤敦樹を左サイドに配置した4-4-2となるだろう。
しかし、ひとつのフォーメーションで表すのは限界で、ボール保持とボール非保持の2種類に分けることも難しい。どちらの場合でも、浦和はシチュエーションによって形をかなり変えていたからだ。
ボランチのひとりを押し出す守備、ボール保持の際は……
例えば、相手のアンカーのジョアン・シミッチにボールが入ると、ボランチの柴戸海が飛び出してプレスを掛け、伊藤と関根貴大の両サイドが絞って、中盤がダイヤモンドのようになっていた。この形を指揮官は「ボランチのひとりを押し出す守備」と表現した。