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「松島幸太朗のビジネス上の効果は…」クレルモン社長が語るフランスラグビーのお金事情、リーグワンが参考にすべき要素は?
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byAFP/AFLO
posted2022/02/12 11:00
クレルモンで2年目のシーズンを戦う松島幸太朗。第13節を終えた時点でリーグ8位につけている
今回、フランスでプロラグビーを管理するビジネスのプロフェッショナルに話を聞くことができた。
松島が所属するクレルモンのプレジデントであるジャン=ミシェル・ギロン氏は、英語で丁寧に質問に答えてくれた。
「今のところは、松島のビジネス上の効果はありません」と話すものの、「でも、グラウンドでプレーする彼の姿を見てください。この選手とはビジネスの為に契約しているのではなく、チームを勝たせる為に契約しているのです」と、日本ラグビーの至宝を高く評価している。
収入の半分がスポンサー、すべて地元企業
そんなギロン氏はラグビークラブのプレジデントとしてだけではなく、敏腕ビジネスマンとしても知られる。クレルモンの収入源を問うと、そのビジネスモデルをハッキリと明かす。
「うちの収入の50〜55%はスポンサー収入です。全てのスポンサーは地元企業です。一番大きいスポンサー企業はミシュランタイヤで、1社でクラブの収入の10〜15%の貢献をして貰っています。TV放映権収入は10〜15%程度。(コロナ禍前の)チケットを含めた試合当日の収入で20%程度を稼いでいました。うちの競技場は9万人のキャパシティを誇っていますが、平均観客動員数で言えば、7万人前後です。まぁ、世の中が普通であった頃の話ですがね」
「うちは、ラ・ロシェル、スタッド・トゥールザンなどと同じように地域密着型のクラブなので、こうしたビジネスモデルになっています。対して、スタッド・フランセ、ラシン92、トゥーロン、モンペリエなどは、オーナーが自らスポンサーになるというモデルです。クラブによって、色々なビジネスモデルがあります」
地元のサポートを得るクレルモンとは異なり、桁違いの裕福な個人がパトロンとなるビジネスモデルを採用するクラブもあり、形はさまざまだという。
大企業の運動部という位置づけで運営されてきた旧体制から独立採算制へ舵を切る日本のラグビークラブにとって、TOP14のビジネスモデルは参考例の1つになるだろう。
また、自分の懐からクラブの財政を支えるのではなく、収入源を管理する仕事をすることによってクラブを支えるギロン氏は、TOP14クラブのTV放映権収入の低さについても言及した。