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「松島幸太朗のビジネス上の効果は…」クレルモン社長が語るフランスラグビーのお金事情、リーグワンが参考にすべき要素は? 

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竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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posted2022/02/12 11:00

「松島幸太朗のビジネス上の効果は…」クレルモン社長が語るフランスラグビーのお金事情、リーグワンが参考にすべき要素は?<Number Web> photograph by AFP/AFLO

クレルモンで2年目のシーズンを戦う松島幸太朗。第13節を終えた時点でリーグ8位につけている

 言うまでもなく、リーグの人気向上と発展は各国の代表チームの強化にもつながる。

 対照的なラグビーを志すがゆえ、何かと比較されるフランスとイングランドだが、両国のラグビー現代史での大きな共通点として「国内クラブと代表チームの仲の悪さ」という点がある。この背景にはこの2カ国だけ、国内クラブが独立採算制で経営されていることが主な原因で、国内トップクラブが協会の傘下に入る伝統的なティア1国のモデルとは事情が異なっている。

 イングランドでは闘将エディー・ジョーンズヘッドコーチと各クラブのオーナーが言い合いをする展開が見られることもあるが、フランスではさらに痛い事例がある。2020年秋にコロナ禍において特別開催された「オータムネーションズシリーズ」では、フランスのクラブが「うちの所属選手が代表戦に出ることができるのは、この秋は3試合まで」という代表招集に制限を設ける異例の声明を発表した。

 8カ国が2つのグループに分かれ争われた同大会。最終節の優勝決定戦で直接対決となったイングランドvsフランスでは、延長の末、イングランドが勝利した。この試合を観たフランス人サポーターの誰もが「ベストメンバーで戦えば絶対に勝てたはずだ」と苦い思いを味わった。

 しかし、そんなフランスも、地元開催となるW杯に向けてようやく団結を見せている。

「フランスは現在開催されているシックスネーションズでも優勝の本命とされており、ボーナスポイントを獲得して勝利した初戦(対イタリア)はいいスタートだと思います。私の知る限りでは、代表とクラブの関係も来年に向けていい方向に向かっていくようです」

 仕事上のしがらみをかかえるとはいえ、冷静なビジネスマンであるギロン氏はこの季節になれば当然フランス代表を応援する。全ては2023年のレ・ブルーのため。グラウンド外のビジネス、グラウンド内の結果が合わさったフランスがW杯優勝候補に名乗りを挙げても何ら疑念はない。

 世界は着々と2023年W杯に向けて進んでいる。日本も秋には本格的に代表の強化が進むだろう。世界のラグビーの動向にも目を向けながら、来る日を待ちたい。

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