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オリンピックへの道BACK NUMBER
「ロコ・ソラーレに慣れると他国は怖いかも(笑)」解説者・市川美余が語るカーリング女子の見どころ「きっかけは“もぐもぐ”でいい」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYuki Suenaga
posted2022/02/09 17:01
2014年5月の引退後、しばらくカーリングから離れていたという市川美余。だが、解説のオファーをきっかけに“カーリング愛”が再燃した
拮抗した勝負も予測される中、市川は1次リーグの行方をこう見ている。
「スウェーデン、カナダ、スイス、この3カ国が1つ上のチームと思っています。ロコ・ソラーレは初戦からスウェーデン、カナダと連戦ですが、序盤はどのチームも氷の状態を読み切れていません。その中でどちらかに勝てると、決勝トーナメントが見えてくるのでは」
勝敗を分ける大きなポイントとなるのは「氷の読み」だという。
「氷の状態とマッチできるかにはスキルが問われます。また、平昌では優勝候補の1つだったカナダが決勝トーナメントにすら上がれませんでした。そういうことが起こり得るのがオリンピックです。今回のロコ・ソラーレはメダルを期待されているので、そのプレッシャーに負けないよう、自分たちのプレーに集中できるかが鍵を握るでしょう」
競技を見るきっかけは“もぐもぐタイム”でもいい
ロコ・ソラーレの活躍を祈りつつ、カーリングそのものの認知が広がることも願う。自身が現役時代に脚光を浴びたことも重ねつつ、市川は「競技を見るきっかけ」について持論を述べた。
「平昌大会で“もぐもぐタイム”が話題になりましたけど、最初は『何を食べているんだろう』からでもいいんです。ロコ・ソラーレのあの明るさは観ていて楽しいですし、作戦を相談する選手の声も聞こえる競技なので、そこにも耳を傾けると面白いと思います。選手たちが何を考えてプレーしているのか、そのストーリーを楽しんでほしいですね」
競技者、解説者としてカーリングに長く携わってきた今、あらためて言葉に実感を込める。
「カーリングは私の人生を作ってくれたもの。もしやっていなかったら、つまらない人間だったと思います。本当に感謝していますし、解説も私なりの恩返しなんです。(北京五輪では)試合のポイントをあげて、より噛み砕いた、もう一歩踏み込んだ面白さを伝えられれば」
2月10日、世界ランキング1位のスウェーデンとの初戦から、ロコ・ソラーレの北京五輪はスタートする。その模様を解説者として冷静に、同時に熱を込めて伝えてくれるはずだ。<前編から続く>
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