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オリンピックへの道BACK NUMBER
「ロコ・ソラーレに慣れると他国は怖いかも(笑)」解説者・市川美余が語るカーリング女子の見どころ「きっかけは“もぐもぐ”でいい」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYuki Suenaga
posted2022/02/09 17:01
2014年5月の引退後、しばらくカーリングから離れていたという市川美余。だが、解説のオファーをきっかけに“カーリング愛”が再燃した
選手の心理に寄り添うような、熱のこもった語り口も好評を博した。
「あれでも、なるべく感情は出ないように心がけているんですよ」
と笑い、こう続ける。
「やっぱり選手の思いが伝わってくると気持ちが入ってしまいますね。解説を始めたばかりの頃は中部電力に感情移入する面もありましたが、経験を重ねるにつれて各チームのストーリーを知っていって、どのチームにも平等に『頑張ってほしい』と思うようになりました」
フェアな解説のために、選手たちとは意識してあまり接点を持たないようにしているという。
「選手からしたら言われたくないことでも、解説の立場から視聴者に伝えなければいけないこともあります。親しすぎると、それが言えなくなってしまうので」
ロコ・ソラーレが持つ、他のチームにない明るさ
すでに北京五輪は開幕し、カーリング女子もスタートを切ろうとしている。日本から出場するのは、平昌五輪で銅メダルを獲得したロコ・ソラーレだ。市川いわく、彼女たちには他のチームとは明確に異なる“特色”があるという。
「小柄なのに力強いスイープにも注目してほしいですが、なんといっても他のチームにない明るさがありますよね。日本ではロコ・ソラーレが基準なので『カーリングはこういうものなんだ』と思いがちですが、本来はポーカーフェイスの方がいいと言われている競技です。ロコ・ソラーレに慣れると、他の国のチームは『怖い』と思われるかも(笑)」
2大会連続のメダルを狙えるだけの地力も培ってきた。
「選手たちはチーム力の向上を掲げてきました。カーリングは投げ手の力量が重要ではあるけれど、それは8割で、残りはスイープやスキップの指示。その残りの2割の部分がさらに強化されたと思います。ショット率も高くなっていて、悪くても常に70~80%をキープできるようになってきました。誰かの調子が悪くても別の誰かが支える、それができているからだと思います。メンタル面での粘り強さも4年前と比べて格段に上がっています」