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オリンピックへの道BACK NUMBER
カーリング人気解説者・市川美余はなぜ24歳で現役を引退したのか「次の五輪を目指す覚悟がなかった」《中部電力で日本選手権4連覇》
posted2022/02/09 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Yuki Suenaga
20代なかばで現役を引退し、現在はカーリング解説者として活躍する市川美余。北京五輪カーリング女子の開幕を前に、解説者へと至った理由や、女子日本代表としてロコ・ソラーレが出場する大会の見どころを聞いた。(全2回の1回目/後編へ)
耳なじみのない専門用語が飛び交うカーリングの魅力を、どう伝えればいいのか――ときにスタジオで熱弁をふるい、ときに選手の感情を代弁するような言葉で試合に臨場感を与える解説者の存在は、かつてマイナーな存在だった同競技への関心を確実に高めてきた。
「カーリングに興味を持つ人が少しでも増えてくれたら、という思いで解説をしています」
当の本人、市川美余はそう語る。2018年の平昌五輪に続き、北京五輪でもスタジオからカーリングを解説する役割を担う。
無所属の「なんでも屋さん」だった高校時代
市川は解説者としてのみならず選手時代にも注目を集め、カーリングの認知度向上に寄与する活躍を見せた。
カーリングを始めたのは7歳のときだった。
「長野オリンピックがあった年(1998年)に軽井沢に住んでいました。軽井沢ではカーリングだけ開催されて、その影響で母が仲間内で始めたのがきっかけです」
母に連れられて、姉と一緒に通ったリンク。「小学生だったので、そこまでのめりこんでいたわけではありませんでした。知らないうちにチームに入っていて、知らないうちに大会に出ていた感じです」と苦笑するが、気づけば大会で結果を積み重ね、中学3年生のときには当時プレーしていたチームで日本ジュニアカーリング選手権優勝も果たしている。
しかし、高校進学後は特定のチームには所属しなかった。
「呼ばれたらそのチームに助っ人で入ってプレーしていました。いわゆる『なんでも屋さん』でしたね(笑)。いろいろなチームに参加して、準備の仕方も休憩のとり方も違うんだなあと思っていました」