酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドラ1風間球打ら若手に交じって柳田悠岐は黙々、元気な松田宣浩の“心打たれる行動”とは《ホークス“C組キャンプ”レポ》
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2022/02/07 11:04
ソフトバンクのC組キャンプ。やはり松田宣浩はムードメーカーになっていた
「C組キャンプは若手主体、育成主体のはずだったのですが、向こう(宮崎)に行くような選手がコロナ明けで残っているものですから、彼らのケアが優先するようなスタートになりましたね。
松田宣浩も柳田悠岐も、本来ならこの時期はずっと体をつくってきてキャンプに臨んでいるはずですが、直前で10日間ほど休んでしまって、体調はたぶん本人たちにもわからないのではないかと思います。でも、彼らはベテランで、調整法は十分に知っているので、順調にやってくれているとは思いますが。
一方で、育成選手やルーキーなどは、とりあえず怪我をしないこと。そして体力づくりを主眼にしています。今のところ大きなアクシデントはありません。
同じ九州ですが、筑後は宮崎よりも寒いですね(笑)。キャンプインと共に九州全体でも気温が下がっている状態で、でも室内練習場とかもありますし、支障なくキャンプは続けています。
感染症対策には気を付けています。動線をきっちりと分けて、選手とファンの方が必要以上に接しないようにしています。ファンサービスという点では申し訳ないんですが。
C組の選手は基本的に選手寮で生活していますし、筑後のホテルも確保しています。ホテル住まいの選手も含め、寮で3食とも食べられるようにしていますので、外に出る必要はあまりないかなと思っています。
藤本(博史)新監督は競争を目指してやるということですが、ファームは将来的に期待する選手が多いので、競争は意識しつつも慌てず、じっくり日本一に貢献できる選手を育てたいと思っています」
心打たれた松田の“ある行動”とは
昼前になってメイングラウンドでは打撃練習が始まった。ここでもやはり松田宣浩である。
ティーバッティング、トスバッティング、3本持ち込んだバットをしっかり吟味しながら一つ一つの動作を丁寧に確認している。
感心したのは、ネットに向けて打った打球を、1個1個拾って籠に戻していたことだ。しっかり腰を下ろしてボールを拾っている。おそらくこれも屈伸の練習なのだろう。周りで見ている若手選手には、何よりの勉強ではないか。
バッティングケージでは野村大樹と交代で5球ずつ打っていた。マシンの背後には小川監督がいて、松田の動きを注意深く見ている。
ベテランのスターが若手に交じって練習する効果は、思いのほか大きいのではないか。4位に終わったホークスの「復活ののろし」は、やや肌寒い筑後の球場から上がるのではないかと思った。