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“中村俊輔の戦友”が「正しい方法」と激賞… 旗手怜央や古橋亨梧らの覚醒+ポステコグルー監督の“Jリーグ式でセルティック改革” 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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photograph by Alan Harvey/Getty Images

posted2022/02/06 11:01

“中村俊輔の戦友”が「正しい方法」と激賞… 旗手怜央や古橋亨梧らの覚醒+ポステコグルー監督の“Jリーグ式でセルティック改革”<Number Web> photograph by  Alan Harvey/Getty Images

旗手怜央のデビュー戦で労をねぎらうポステコグルー監督。J1優勝経験のある指揮官が欧州の名門でどんな結果を残すかも注目だ

 ポゼッションサッカーをベースに、少ないボールタッチで小刻みにボールを動かした。ボールを持てばワイドエリアでピッチ幅を広く使い、レンジャーズ陣内へ攻め込んだ。

 ボールを失っても即時奪回を目指し、高い位置からプレスをかけた。奪い返せば、速やかにショートカウンターを発動。組織的なボールの囲い込みも機能し、特に前半は畳み掛けるような猛攻でレンジャーズを圧倒した。

 その中で、旗手の動きは非常に効果的だった。4-3-3の左インサイドMFの位置で先発したが、ポジションの枠組みに捉われることなく、ピッチの広範囲を走り回った。チャンスと見ればトップ下付近まで進み、さらに最前線まで駆け上がって相手DFラインの裏を狙った。そして敵のカウンターになれば、猛ダッシュで自軍ゴール前まで戻って敵のチャンスを潰す。豊富な運動量で、攻守両方で存在感を示した。

 秀逸だったのは、局面局面における旗手のポジション取りだ。味方のボールホルダーのサポートに入ると、旗手は周囲の状況を正確に把握し、次の展開に移りやすいフリーの位置に体を移して、パスを受けた。ボールをもらえば、縦パスで局面を打開。縦パスやシュートが難しいと判断すれば、左右にボールを散らして次の攻撃につなげた。旗手がいることで、セルティックの攻撃に確かなリズムと躍動感が生まれた。

“俊輔の戦友”が見る、いきなり大活躍の理由とは?

 なぜ旗手は、デビューからすぐに活躍できているのだろうか。

 デビューから4試合で3ゴール、1アシストの活躍は、もちろん旗手に確かな力があってこそだ。

 元スコットランド代表FWのジェームズ・マクファデン氏も「初ゴールを決めたハーツ戦も素晴らしかったが、2点を決めた今夜もセンセーショナルだった。ハタテはスコットランドで偉大な選手になりそうだ」と力を込めていた。

 ただ、ここからもう一歩、踏み込んだ見解を示したのが、セルティックで1999~2006年にプレーし、中村俊輔とも共闘したスティリアン・ペトロフ氏である。42歳の元ブルガリア代表MFは、アンジェ・ポステコグルー監督のプレースタイルを踏まえて説明した。

「今のセルティックを見ていると、前線でのポジションチェンジの多さに気がつく。連係プレーやボールの動かし方も特徴的だ。このように、ポステコグルー監督の戦術に確かな方法論が見て取れる。彼には揺るぎない信念があり、そのやり方に合わない、もしくはできない選手であれば、チームメンバーから外す。出場チャンスはないということだ。

 旗手の2点目は、典型的なセルティックのゴールだ。DFラインからわずか4つのパスだけで、非常に素早くファイナルサードまで進んだ。ボールの動かし方も早かった。ここでのポイントは、『選手たちの動き方』と『ポジションチェンジを含めた味方同士のリンクプレー』。これらを見ても、選手たちがそれぞれの役割をよく理解しているのが分かる。誰もが、正しいタイミングで正しい場所に向かって走っているということだ。そして、旗手のゴールにつながった」

 たしかに、セルティックのプレーを見ていると、監督が戦術をうまく落とし込んでいるのが伝わってくる。

【次ページ】 「日本人選手の補強策が話題になっているが……」

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