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「1位のほうがおかしいんですよ(笑)」優勝→“96敗”のどん底で元ヤクルト監督・真中満が「嵐の曲を聴いていたら涙が」…天国と地獄の監督人生
posted2025/05/07 11:04

天国から地獄へ。優勝した2年後に96敗を喫した最下位シーズンも含め、監督人生を率直に回想してくれた真中満氏
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Yuki Suenaga
「1位になったことがおかしいんです(笑)」
「監督していた自分が言うのは失礼だけど、ヤクルトって(2013年から)6位、6位、1位、5位、6位ですよ。1位がおかしいんですよ。何言ってんだ、お前が言い訳するなって言われそうだけど、2015年に1位になったことをみんなおかしいと思ってくださいよ(笑)」
そう朗らかに振り返ることができるのも、真中満氏の大らかさゆえだろう。その言葉通り、15年に壮絶な優勝争いを制したヤクルトは翌16年、5位に逆戻りしてしまう。絶対的守護神だったトニー・バーネットが移籍し、畠山和洋や川端慎吾が相次いで故障離脱するなど、前年の激闘の代償に泣いた。優勝翌年の反動やチームマネジメントの難しさは、どんなところにあったのか。
「16年シーズンのキャンプ前に、選手には『去年の優勝は忘れて、また新たに挑戦するつもりでやっていこう』という話をしました。でも、それって本当に難しいことなんですよ。決して慢心ではないけれど、勝ち切った達成感の後の心の隙みたいなものは、どうしたって出てくる。
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それは選手だけでなく監督やコーチも同じで、僅かなスキが70人分積み重なるとどこかでズレとなって表れてしまうと思うんです。油断したわけでもないし、手を抜いたわけでもないんですけどね。
チーム全体の手綱を引き締めていくのは本当に難しい。去年でいえば阪神の岡田(彰布)監督、今年の巨人・阿部(慎之助)監督はきっと、その辺り苦心したと思いますよ」
守護神退団騒動
16年シーズンには、衝撃的な「オンドルセク騒動」もあった。バーネットに代わり守護神を務めていたローガン・オンドルセクによるシーズン中の退団劇だ。きっかけは6月26日の中日戦。9回に登板したものの野手の失策も絡み3失点して降板した右腕が、ベンチに戻ると激昂して暴れ、注意した真中監督らに楯突いたのだ。