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「ハタテはただものじゃねえ」世界一の左SBが絶賛 セルティック旗手怜央、宿敵撃破の特大インパクトと「キョウゴに続き一流」の伸びしろ
posted2022/02/06 11:00
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Rob Casey/Getty Images
――その活躍次第ではあの古橋をも凌ぐ、シーズンMVP級の価値がある。
オールドファーム前に執筆したコラムの文末をこう締めくくった筆者だが、まさか本当に予想以上のことが起こりえるなどとは。
スコティッシュ・プレミアシップ第22節のセルティックvsレンジャーズ、伝統の「オールドファーム」は衝撃的な一発から始まった。
前半5分、右サイドからのコーナーキックのこぼれ球を拾った旗手怜央は、ペナルティボックス外側から慎重に右足を振り抜いた。丁寧にシュートコースを狙ったボレーはゴール右隅に吸い込まれる。
開始間もない先制ゴールに、セルティック・パークが揺れた。
続く42分には中央エリアで右サイドのリエル・アバダからパスを受けると、またもペナルティボックス外側から、今度はニアサイドを狙ったミドルシュートを放つ。ブロックに入ったディフェンダーの脇を抜く鮮やかな軌道は、ゴールキーパーの手をかすめてネットを揺らした。
宿敵レンジャーズ相手に2ゴール。これだけでも十分だが、旗手は止まらない。そのわずか2分後にはスローインを受けると、左サイド深い位置からクロスを上げてアバダのゴールをアシスト。3点に絡む活躍で、前半のうちに試合を決定づけた。
ライバルのメンタルを揺さぶる冷静さが素晴らしい
旗手のパフォーマンスは、オールドファームでの2ゴール1アシストという数字以上に大きな価値がある。
まずゴールを挙げた時間帯と状況である。開始5分に先制したことでセルティックは序盤から安心して試合を運ぶことができた。
2点目は相手がビッグチャンスを逃した直後に決めている。同点のチャンスから一転、2点差に広がったことでレンジャーズとしては精神的に大きな負担がかかった。
そして旗手はレンジャーズの集中力が切れた瞬間を見逃さなかった。3点目のシーンは旗手のクロスの質ももちろん良かったのだが、どちらかといえば旗手への寄せ、クロスへの対応が甘かったとする方が正しいだろう。
開始直後、決定機を逃した直後、そして失点直後と、潮目の変わるポイントで果敢にゴールを狙ったプレーを実行し、相手のメンタルを大きく揺さぶった。ダービーマッチという重圧のかかる試合で、冷静に試合の流れを汲み取ってプレーしたことこそ最も評価すべき点ではないだろうか。