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筒香嘉智が2億円“自腹”でスタジアム建設! 少年野球の“環境改善”に全力をつくすワケ「内外野ともに天然芝のグラウンドに」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2022/01/18 06:00
子供たちにとっての理想の野球環境作りに向け、提言だけでなく実際に行動を起こしている筒香
「指導者に自分の体調を正直に伝えられたことが素晴らしい」
一方で高校野球界でも2019年の大船渡・佐々木朗希投手(ロッテ)や昨年の天理・達孝太投手(日本ハム)のように、甲子園大会の予選や本大会でも無理せずに登板回避をする環境が生まれてきていることにも話が及んだ。
イベントで発言した筒香は、球数制限やお茶当番を廃止した連盟やチームの動きに「今まで事例がないことをやろうとしてもなかなか受け入れてもらえない風潮がある中で、思い切ったルール作りや変革に乗り出して下さった方々に敬意を払いたいと思います」と語り、佐々木や達の登板回避についてもこう賞賛の言葉を語っている。
「エースのプレッシャーがある中でも、指導者に自分の体調を正直に伝えられたことが素晴らしいし、伝えられる環境があることはいいことだと思います」
飛びすぎる金属バットの弊害を訴える
一方でイベント後の記者会見では、最後に「1つだけいいですか」と自ら切り出すと、飛びすぎる金属バットの弊害を訴えている。
その中では昨シーズン、ドジャースでプレーをしていたときに、ある主力選手から「日本の高校生の打球はよく飛ぶのに、日本人のパワーヒッターが少ないのはなぜだ?」と問われたという話を披露。「僕自身、プロに入ったときに木製バットには苦労した。見ている人はホームランが楽しいかもしれないけど、日本の選手の将来を左右する。(バットの)重さや直径だけでなく、反発係数の規定を設けるべき」と持論を改めて訴えた。
そうした日本の野球界、特に子供たちを取り巻く野球環境の変革への思いは消えることはない。そこでこれまでのプロ野球のトッププレーヤーという立場、影響力を使った発言、提言から、今度はさらに一歩進んだところで、実際に理想の野球環境を作るためにアカデミー設立を決断した訳である。