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筒香嘉智が2億円“自腹”でスタジアム建設! 少年野球の“環境改善”に全力をつくすワケ「内外野ともに天然芝のグラウンドに」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2022/01/18 06:00
子供たちにとっての理想の野球環境作りに向け、提言だけでなく実際に行動を起こしている筒香
なんとグラウンドは全面天然芝を敷き詰める
橋本市内に作るアカデミーの広さは、約3万平方メートルという大規模なものとなる。そこにいずれも全面天然芝を敷き詰めた野球グラウンド1面と内野サブグラウンドが1面、さらに室内練習場を備える野球総合施設を建設する。
「ベイスターズ時代から子供たちが本当に野球を楽しみ、成長できる環境の必要性を感じ、自分なりに発信を続けてきましたが、その思いを実現するためにアカデミーを作ることを決断しました」
筒香本人が語るように、このアカデミー設立こそがこれまで訴えてきた様々な野球界への提言を、自分自身の手で実現していくための場所になる。筒香にとっては理想を実現するための聖地となるのだ。だからこそ億を超える破格の投資も惜しまないで、ベストと思える施設作りを決断したのである。
お茶当番を廃止するチームが増えている
2017年に中学生時代に所属していた堺ビッグボーイズの小学生チーム「チーム・アグレシーボ」のスーパーバイザーに就任すると、翌18年1月のイベントの取材でメディアを通じて「勝利至上主義からの脱却」を訴えた。その後も自著の『空に向かってかっ飛ばせ!』(文藝春秋)や日本外国特派員協会での会見、またさまざまなイベントを通じて少年野球や中学生、高校生を取り巻く野球環境が果たして選手の健康を守り、将来の成長に結びつくものとなっているのかを訴え、改善への提言をおこなってきていた。
今年も年明けの1月8日にNPO法人BBフューチャー主催のオンラインイベントに出席。約60人の野球指導者らと、野球界の将来について活発な意見交換を行ったばかりだった。
その中で例えば球数制限については、中学軟式野球では1日80球(2日で120球)、学童軟式野球では1日70球と上限が設けられていることが報告された。また練習時間を短くしたり、お茶当番を廃止するチームが増えていることなども話題となった。